猫町倶楽部では、毎日様々な分野の本や映画などの作品を課題にした読書会が開かれています。でも、読書会の開催時間帯は日本時間の午後8時台がほとんど、時差のため海外からは参加しにくい時間帯です。

そういうわけで、今年5月、海外在住の猫町ラウンジメンバーたちが話し合って「海外からも参加しやすい時間帯の読書会をやりたい」と猫町倶楽部主宰のタツヤさんに提案、この8月から「グローバル読書会」を始めることになりました!

始まったばかりの「グローバル読書会」を猫町ラウンジ以外の人たちにも広く知っていただくため、毎回開催レポートをお届けしようと思います。

記念すべき第一回の読書会はどんな様子だったのでしょうか?猫町倶楽部始まって以来の超深夜(超早朝?)日本時間午前2時スタートの読書会は果たして…

開催レポート
(1)第一回開催概要報告
(2)猫町読書会の当日の流れと猫町ワードの説明
(3)次回の読書会のお知らせ


(1)第一回開催概要報告

日時:2023/8/20(日) 2:00~5:00
課題本:夏目漱石「夢十夜」
参加者:12人

なんと参加者が12人も。その内訳は、海外在住サポーターたち4人に対して、日本から参加された方が8人。海外在住のサポーターたちしか集まらなかったらどうしよう、と不安でしたが、蓋を開けてみたら日本からの参加者の方が多かった。

そして、お仕事などの関係で「夜中の方が都合がいい」「この時間帯がいつも一番活動的な時間帯だ」という方々も。これはサポ一同嬉しい驚きでした。また、猫町ラウンジ会員ではない一般参加の方もいらっしゃって、夏目漱石の人気の高さがわかります。

とはいえ、参加者全員の「夏目漱石を知っている度」はバラバラです。漱石の他の作品も読んだことがある、漱石が好きだ!という人もいれば、文学も古典も苦手だし、自分ではまず選ぶことのない本だ、という人、「夢十夜」読んだけど、よくわからなかったという人も多数。

さて、今回の課題本、夏目漱石「夢十夜」は、本のタイトル通り、十個の夢の話から成っています。

第一夜:死ぬ間際の女と自分の話
第二夜:和尚と侍の話
第三夜:子供をおぶった親の話
第四夜:酒を飲んでいる爺さんの話
第五夜:戦いに敗れて敵軍の捕虜になった自分の話
第六夜:運慶の仁王像を真似て、自分でも仁王像を彫ってみる話
第七夜:大きな船に乗っている自分の話
第八夜:床屋の話
第九夜:母が幼子を連れて百度参りに出かける話
第十夜:庄太郎の話


「夢十夜」を読んだことのない方にとっては、いったいどんな夢なのか皆目見当もつきませんよね。それに夢の話ってたいてい荒唐無稽、ストーリーもオチもないのが普通だし。

当日は参加者が12人だったので、2グループに分かれて読書会スタート。
一つのグループでは、ファシリテーターの発案で、参加者がそれぞれ好きな夢を1つ、2つ選んで、好きな人が多かった夢の順番で話をすることになりました。トップ3は、第一夜、第十夜、第三夜。第二グループでも一番人気は第一夜でした。

どんな感想が集まったのか、一部ご紹介します。

・ストーリー性があって、オチもつく第一夜と第三夜が好き。あとはよくわからなかった。
・第一夜はとても綺麗でロマンティック。浮世離れした話。永久の時間の流れ、永遠性を感じる。
・この夢は漱石が実際に見た夢なのか、全くの創作なのか?
・漱石は色つきの夢をみるタイプらしい。第一夜は特に色が鮮やかに描かれている。
・第一夜から第三夜は、本当の漱石の夢ではないか?
・漱石のアニマ(男性の心に無意識に潜む女性のイメージ)を感じる作品。
・漱石の女性観は独特。女性の扱いが雑。女性に対して恐怖感、嫌悪感がある。異質なものと捉えているように感じる。
・漱石の文章はリズム感があって好き。畳み掛けるような感じ、グルーブ感がある。
・第三夜は、自分の中にある何かを無意識に抑圧して生きているような感じがする。普段忘れていることやものが夢に出てくるような。
・第三夜のように、夢の中で誰かを殺した夢を見たことがある。目が覚めてからもすごい罪悪感を感じたことを思い出した。
・第四夜に出てくる「神さん」っていったい誰?
・第十夜、男性が女性に決断を迫られる話。実際の生活でもそういう場面が多いのではないか?(男性の参加者全員、深くうなづく)
・第八夜の鏡を見るシーンが象徴的。直接ものを見ていない感じ。
・100年とか百度参りなど、100という数字が度々出てきたが、何か特別な意味があるの?100年目に咲く「百合」(第一夜)にも百という数字が入っている。
・100年待つ(第一夜)というととても長い気がするけれど、『夢十夜』が発表されてからもう115年たっている。長く読み継がれていてすごい。


最後に参加者全員で集合写真を撮って、読書会終了。
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読書会のあと、有志が残って懇親会スタート。
懇親会は基本フリートークです。課題本について話したりんと本の感想を話すこともあれば、全く違うトピックで話すこともあります。サポーター全員が海外在住だったこともあり、海外生活や英語についての話も。午前4時半までの予定でしたが、話が盛り上がってお開きになったのが午前5時すぎでした。

読書会にご参加頂いた皆さん、ありがとうございました。

設営サポーターから、ひとこと感想です。

・第一回が無事に終わってホッとしています。まさか日本在住組の参加者の方が海外組サポより数が多くなるとは思いもしませんでした。次回からも時をかけるグローバルな読書会になりそうで楽しみです。宵っぱりさんいらっしゃーい!
・『夢十夜』はよくわからなかったという感想が多かったのですが、各自で気になった所が違っていて興味深かったです。懇親会では、海外在住日本人の交友事情として、《仕事》《学校》《子供》など狭い輪のやり取りはあっても、偶発的な接点やゆるいつながりどうしで日本語で雑談する機会がなかなかないという話で盛り上がれてよかった。
・日本から眠い目をこすりながら深夜に参加した『夢十夜』の読書会はとても刺激的で、元気な海外組と夜に強い国内の参加者にリードしてもらって読解を深められた楽しい1時間半でした。夢を語っているということで、読者に自由な解釈の余白をたくさん残してくれているので読書会に向いた作品だと思いました。
・記念すべき第1回グローバル読書会がつつがなく終了しました。
今後は海外在住者への周知は課題ですが、この時間でも国内の参加者が増えそうな予感♡


(2)猫町読書会の当日の流れと猫町ワードの説明


初めて猫町読書会に参加される方は、皆どんな風に集まってきて、どんな風に読書会は始まって終わるのか、勝手がわからないから不安だし、知らない人ばかりのところに入っていくのは緊張しますよね。

猫町読書会の当日の流れは、どの読書会もだいたい同じ形式になっています。
「洋書読書会」のサポーターさんたちがわかりやすくまとめてくださったブログがありますので、こちらの(2)読書会の当日の流れ をご覧ください。

猫町倶楽部の公式ブログ猫町倶楽部についても合わせてどうぞ。

続いて、猫町倶楽部でよく使われる猫町ワードの説明です。

猫町ワードその1「猫町ラウンジってなに?」
猫町ラウンジとは、猫町倶楽部の読書会をより一層深く楽しむための、オンラインの活動拠点です。詳しくはこちらの 猫町倶楽部公式ページ をご覧ください。


猫町ワードその2「サポーターってなに?」
猫町の読書会は、分科会と呼ばれる本や映画などジャンルごとに分かれたチームがいくつもあり、それぞれの分科会の読書会が毎月1回(分科会によっては2回以上)開かれています。

この読書会の設営を行うのが「サポーター(通称サポ)」と呼ばれるボランティアたちです。サポーターは各分科会ごとに募り、任期は一年。他の分科会との掛け持ちもできます。「グローバル読書会」の現サポーターたちは5人。全員海外在住で、4つの国と4つの異なるタイムゾーンから猫町読書会に参加しています。


猫町ワードその3「ファシリテーターってなに?」
猫町倶楽部の読書会は通常、6~8人が1グループとなり、選出されたファシリテーター(通称:ファシリ)を中心に各グループでの会話を進めていきます。ファシリテーターは各読書会で決められたお題に該当する方にお願いしています。

例えば、今回のグローバル読書会のファシリ決めのお題は、①昨日夢を見た人 ②夏目漱石の誕生日と自分の誕生日が近い人 ③ 今日、東京から読書会に参加している人 でした。お題はその読書会の設営サポーターたちが選びます。課題本や作者にちなんだお題を選ぶことが多いです。

また、ファシリに選ばれたからといって、うまく話をまとめなくちゃいけない、とか、話を盛り上げないといけない、などということはありません。ファシリ役は猫町読書会への参加回数が3回以下の方にはお願いしないことになっていますし、各グループには設営サポーターがいて読書会に参加しているのでご安心ください。


猫町読書会へ参加するためのルール
それはたった二つ。
・課題本を読了すること
・他人の意見を否定しないこと。

読書会に参加するのに、その作品や作者に詳しい必要は全くありません。読了といっても、作者の意図を理解し、自分の意見を上手くまとめて発表する、ということは必要ありません。作品を読了し、自分が面白いと感じた箇所、わからなかった箇所など、素朴な意見をお互いに話して共有します。

「え?そんな簡単でいいの?」と思われた方、そんな簡単でいいんです。他人の意見を否定しないということは、他の参加者の意見を否定しないということで、作品に対しての否定意見はむしろ歓迎です。

課題本が難解であればあるほど「最後まで読み切ったけど、何がなんだか全然わからん…」と頭を抱えて読書会に参加する人はきっとあなただけではありません。そのわからなさを皆で共有するのも猫町読書会に参加する楽しみのひとつです。難解な課題本の時ほど読書会が盛り上がると言われています。


(3)次回の読書会のお知らせ


次回のグローバル読書会
日時:9月17日(日) 2:00~3:45 (読書会後、4:30まで有志で懇親会)
課題本:「弱いつながり」東浩紀

イベントページはこちら 


「グローバル読書会」は日本時間の毎月第3日曜午前2時スタートです。
9月以降のスケジュールは以下の予定になっています。
Screenshot 2023-08-31 at 6.51.24 PM.png 68.45 KB
ちなみに、日本の午前2時って他の国ではいったい何時になるかというと…

米国ハワイ 7:00am
北米&カナダ西海岸 10:00am
南米ペルー 12:00pm
北米&カナダ東海岸 1:00pm
イギリス 6:00pm
イタリア 7:00pm
エジプト 8:00pm
インド 10:30pm


海外在住の方はもちろんのこと、日本の宵っぱりさん、夜のフクロウさんたち(英語で夜型人間のことを Night Owl といいますね)も、いらっしゃ〜い!皆様のご参加をお待ちしています。

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