みなさまこんにちは。
昨年発足した猫町倶楽部の洋書読書会では、柴田元幸さんに8作品を選んでいただき、2022年10月から10か月にわたって読書会を行ってきました。
8月からは鴻巣友季子さんの選書で第2期に入ります!
10作品を1年にわたって読んでいきますが、まずは4作品、年内までの課題本を紹介します。

📕8月 "A Life in Fictions" by Kat Howard

▼▼読書会の申し込み締切は8月14日▼▼
https://nekomachi-club.com/events/8eb489cc7b43

SF・ファンタジー系のアメリカの作家キャット・ハワードの日本語訳されていない短編 "A Life in Fictions" からスタートです。鴻巣さんによると「ある女性が恋人の男性小説家の作品モデルになるうち、現実での存在実態を少しずつ千切り取られ、虚構世界に消えていくというおもしろ怖い小説です。」とのことです。
全文がこのサイトで読めます。https://apex-magazine.com/short-fiction/a-life-in-fictions/ 
ネイティヴなら "7 min read"(7分で読める)、紙にして数ページの短い作品なので、ぜひ挑戦してみてください。

以下の書籍にも収録されています。
"A Cathedral of Myth and Bone: Stories" by Kat Howard    https://amzn.asia/d/fmpbdqQ
"Stories" edited by Neil Gaiman and Al Sarrantonio    https://amzn.asia/d/hl9K3U5


📕9〜10月    "The Member of the Wedding" by Carson McCullers


アメリカの作家が続きます。猫町倶楽部では、同じ著者カーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』で7月に(日本語翻訳の)読書会をやったばかりです。
村上春樹訳の新潮文庫版『結婚式のメンバー』の作品紹介を引用すると、『この街を出て、永遠にどこかへ行ってしまいたい――むせかえるような緑色の夏に、十二歳の少女フランキーは兄の結婚式で人生が変わることを夢見た。南部の田舎町で、父や従弟、黒人の女料理人ベレニスとの日常に倦み、奇矯な行動に出るフランキー。狂おしいまでに多感で孤独な少女の心理を、繊細な文体で描き上げた女性作家の最高傑作。』
長編としては短めですが150ページほどあるので、9月と10月の二回に分けて読書会をします。
原書はいろいろな版があります。
https://amzn.asia/d/ekHRSZE     



📕11月    "Torching the Dusties" by Margaret Atwood


鴻巣さんはカナダの作家マーガレット・アトウッドの『誓願』や『獄中シェイクスピア劇団』を訳していて、近著『文学は予言する』でもアトウッドの作品を論じています。猫町倶楽部では5月に『獄中シェイクスピア劇団』で読書会を行いました。
11月に洋書読書会で取り上げるのは    "Stone Mattress" に収録されている短編 "Torching the Dusties" です。https://amzn.asia/d/i1QlLZy
版元によると「年老いた未亡人の主人公は高齢者用施設で暮らしていますが、シャルル・ボネ症候群を発症して幻が見えています。一方、デモ隊が施設を燃やすために集まってきて...」といったあらすじです。
鴻巣さんの翻訳『老いぼれを燃やせ』は『文藝 2020年秋号』に掲載され、『覚醒するシスターフッド』に収録されています。


📕12月    "The Wild Iris" by Louise Glück
 
年末の洋書読書会は初めて詩集に取り組みます!
アメリカの詩人ルイーズ・グリュックは2020年にノーベル文学賞を受賞しました。1992年に出版された"The Wild Iris"は彼女の代表的な作品集です。
原書は The Wild Iris 単独では https://amzn.asia/d/1UfdwiH  などがあり、"Poems: 1962–2020" https://amzn.asia/d/dKX0fVX  は60年近くの長いキャリア全体の作品集になっていて The Wild Iris も含まれています。
邦訳には野中美峰訳「野生のアイリス」があります。日本語訳も読んでみたい方には、英日対訳になっているこの本が最適です。

以上4作品、すべて女性の作家の作品です。


そしてそして、もう1冊。

📕2024年6月予定    "Small Things Like These"    byClaire Keegan


鴻巣さん選書の終盤で未邦訳!!の中編作品が課題本になります。
クレア・キーガンはアイルランドの女流作家で、こちらはブッカー賞一次候補作に選ばれた作品です。
読書会はだいぶ先ではありますが、未邦訳にじっくり準備して挑みたい!という方もいるかもしれないので早めにご紹介しておきます!


毎月20日前後の開催で、前月末までには日程が確定してイベントページが公開されます。
▼▼
https://nekomachi-club.com/events 

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洋書読書会参加してみたいけど自分でも参加できるかな?と不安に思っている方もいると思うのですが、ひとりでも多くの方に参加していただきたく英語力レベルの目安を設けています。

■どのくらいのレベルから参加していいの?

高卒相当まで英語を学び、その後は英語に密に触れる機会はなかったけれど、これを機に努力して主に大人向けの小説などを英語の原書で読了してみたいという意欲のある方であれば大歓迎です。

またこの読書会の目的は本の内容(ストーリーや登場人物の心情など)についての感想を話すことで、一言一句の理解や、英文読解・英文解釈のような精読を求めてはおりません。

読み進めるにあたり、翻訳版や解説書などの力を借りて頂いても結構です。

どうですか?参加できそうな感じしてきませんか?

洋書読書会は見学参加もOKです。
課題範囲の読了はしてほしいのですが、とりあえずどんな雰囲気か見てみたい方も歓迎です。

皆さまのご参加をお待ちしております!

洋書読書会サポーター    ひでき(文)&Emiko