みなさまこんにちは!
猫町倶楽部では先月(2022年10月)から洋書読書会が始まりました。
オープンから半年は翻訳家の柴田元幸さんに選書をお願いしております。
このブログでは今後の洋書読書会の課題本をご紹介します。
1ヶ月では読了が難しい・・という方もいらっしゃると思いますので少し先の課題本にじっくり取り組む助けにもなりましたら幸いです。
また、それぞれの課題本に柴田先生判定の難易度もついていますのでそちらも参考にされてみてください。

*猫町倶楽部の読書会とは
読書会はZoomを利用したオンライン読書会を実施しています。
基本的には20:30-22:05で開催、読書会の時間は1時間半程度です。
参加者は日本各地から接続しており、海外在住の方も参加されています。

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最初の課題本はカズオ・イシグロの「日の名残り」。
長いので10月と11月に二回に分けて読んでおりまして、次回は後半部が課題範囲で11月22日(火)に開催予定です。
前回の読書会に参加していなくても構いませんので、後半だけの参加もお待ちしています。https://nekomachi-club.com/events/a1cbb1e819c4
課題範囲の読了(※)が参加条件です。
※読了とは、短縮版やリライトではなくオリジナル英文の原書の通読、又は、Audibleなどを使って全文を英語で聴く事とさせて頂いています。

「日の名残り」は長編で英語も易しくはないですが、12月からの4回は短編1編だけが課題となるので参加のハードルはぐっと下がります。
イシグロほど知名度の高い作家・作品ではないかもしれないのでここでご紹介します。


📚12月  “The Paper Menagerie” by Ken Liu    英語難易度<中>
12/20(火)20:30〜開催予定


12月は“The Paper Menagerie” by Ken Liu。2011年に雑誌で発表されヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞という史上初の3冠受賞、2016年の同名短編集に収録されています。
menagerieは難しい単語ですが、邦題の「紙の動物園」(ハヤカワ文庫)は聞いたことがある人も多いかと思います。
ケン・リュウは、日本でも話題になった劉慈欣の長編SF「三体」の英訳者としても知られています。
柴田さん判定の英語難易度は<中>です。
ペーパーバック版 https://www.amazon.co.jp/dp/1784975699 
電子書籍    https://www.amazon.co.jp/dp/B015Q7V9C4 
紙でなくてもいい方はウェブで全文が読めます。
https://gizmodo.com/read-ken-lius-amazing-story-that-swept-the-hugo-nebula-5958919

▼▼読書会参加申込はこちら▼▼https://nekomachi-club.com/events/0d7b15db4798

📚1月 “The Country of the Blind” by H. G. Wells    英語難易度<やや難>


1月もSF作家が続きます。時代はぐっと遡って120年近く前に発表された“The Country of the Blind” by H. G. Wells。ジュール・ヴェルヌとともに「SFの巨人」と呼ばれるH. G. ウェルズの中期傑作短編です。
1904年にThe Strand誌初出のオリジナル版は https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Country_of_the_Blind_by_H._G._Wells_(The_Strand_Magazine,_April_1904).pdf  からPDFをダウンロードできます。
紙では様々な版が出ています。例えば https://www.amazon.co.jp/dp/B098VSNFV6  。
自分の好みのものを探してみてください。
電子書籍も様々ですが、例えばhttps://www.amazon.co.jp/dp/B004TPVX4E  。

ウェルズは1939年に自ら同作を改訂しているので、改訂版が収録されている本もあるかもしれません。読書会ではどちらのバージョンを読んできてもよいこととします。
柴田さん判定の英語難易度は<やや難>。ほかの課題短編よりも少し長めです。年末年始の休暇にじっくり読んでみてはいかがでしょう。
邦訳は色々な短編集に収録されていますが、例えば「世界最終戦争の夢」 (創元SF文庫)所収の「盲人の国」があります。


📚2月 “Americca” by Aimee Bender 英語難易度<中>


2月は現代の作家に戻って、 “Americca” by Aimee Bender。
三作目の短編集 The Color Master: Stories (2013) に入っていますが、邦訳されていません。
課題短編はウェブで全文読めます→https://www.salon.com/2013/08/10/fiction_americca_by_aimee_bender 
紙の本は手に入れづらいですが https://www.amazon.co.jp/dp/0099559250 
電子書籍 https://www.amazon.co.jp/dp/B00BH0VSQ2

エイミー・ベンダーの翻訳は4作いずれも管啓次郎さん訳で出ていて、「レモンケーキの独特なさびしさ」(角川書店)と「燃えるスカートの少女」(角川文庫)は手に入りやすいです。この作家に関する日本語の情報は多くないのですが、シュールなストーリーと登場人物が特徴とのこと。"Her stories are dream-like, wickedly funny, inventive and weird in the best of ways."という評もあります。
柴田さん判定の英語難易度は<中>。
未邦訳の作品を目利きの選書で原文で楽しめるのも洋書読書会ならではの醍醐味ですね。
https://nekomachi-club.com/events/14b4006fb82c

📚3月 “The Lottery” by Shirley Jackson    英語難易度<易>


短編シリーズ最後の3月は、“The Lottery” by Shirley Jackson。1948年初出のThe New Yorker誌のサイトで全文読めます。
https://www.newyorker.com/magazine/1948/06/26/the-lottery 
同ページでは朗読も聞けます。
紙がいい方は、最近出たばかりのハードカバーLittle Clothbound Classics版の装丁が美しくておすすめです。https://www.amazon.co.jp/dp/0241590531 
電子書籍は例えば https://www.amazon.co.jp/dp/B0BC4L2VCK 
邦訳はシャーリイ・ジャクスン「くじ」(ハヤカワ・ミステリ文庫)の表題作です。
この作品については、出版社による同書の紹介文を引用するだけで十分かと思います。「毎年恒例のくじ引きのために、村の皆々が広場へと集まった。子供たちは笑い、大人たちは静かにほほえむ。この行事の目的を知りながら……。」「その強烈な内容にショックを受けた読者から投書が殺到するなど 大きな反響を呼ぶ。」
柴田さん判定の英語難易度は<易>。
短い作品なので「初めての洋書読書会」としても参加しやすいでしょう。


以上、12月から3月のバラエティに富む課題本の紹介でした。
毎月20日前後の開催で、前月末までには日程が確定してイベントページが公開されます。https://nekomachi-club.com/events 
柴田さんにはもう一冊長めの作品の選書をお願いしていて、4月の課題本になります。お楽しみに。

洋書読書会参加してみたいけど自分でも参加できるかな?と不安に思っている方もいると思うのですが、ひとりでも多くの方に参加していただきたく英語力レベルの目安を設けています。

■どのくらいのレベルから参加していいの?
高卒相当まで英語を学び、その後は英語に密に触れる機会はなかったけれど、これを機に努力して主に大人向けの小説などを英語の原書で読了してみたいという意欲のある方であれば大歓迎です。
またこの読書会の目的は本の内容(ストーリーや登場人物の心情など)についての感想を話すことで、一言一句の理解や、英文読解・英文解釈のような精読を求めてはおりません。
読み進めるにあたり、翻訳版や解説書などの力を借りて頂いても結構です。


どうですか?参加できそうな感じしてきませんか?


洋書読書会は見学参加もOKです。課題範囲の読了はしてほしいのですが、とりあえずどんな雰囲気か見てみたい方も歓迎です。

みなさまの洋書読書会への参加をお待ちしています!!


猫町倶楽部・洋書読書会運営サポーター ひでき & Emiko