2020/09/20 19:15
20/9/15三島由紀夫『仮面の告白』読書会の感想
同じテーブルだった方々ありがとうございました。
(記憶をたどって書いているので、思い違いや忘れていることもあるかと思います。ご容赦を)
いつものように受付をしてもらって、いったんブレイクアウトルームに入りぽつぽと雑談をしていたのですが、気がつくとそこにいるのは女子ばかり。珍しいのでは?と盛り上がり、そこから「今回の課題本どうだった?」という流れになりました。
読書会で何を話せばいいんだろうという戸惑いを持っている方が大半を占めていて、女子六人で照れと含み笑いをしつつ、すでにここでちょっと話が弾みました。
これって女の人と男の人では感じ方が違うのでは? 班分けどうなるんだろうね、このままでも深い話できそうだね、本場の読書会に男性がいたら話しづらいかな、向こうもそうじゃないとか、いろいろ。
「私たち、仮面の告白読んじゃったよね」という一種共犯めいた雰囲気になって、ほとんど初対面の方々ばかりだったのに(ひょっとしたらお知り合いだった方もいらっしゃったかもしれませんが)なんだか妙な連帯感がありました。
会話が温まったところから読書会スタートでした。
一度全員集合して説明を聞き、入ったブレイクアウトルームは女性三名、男性三名でした。
入った途端にファシリテーターのたくまさんが三島コスプレ(?)をされていて、あまりのはまり具合にしばらく笑いがおさまりませんでした。
みなさんのお話とても興味深かったです。
特に記憶に残っているのが、主人公はゲイなのか、ストレートなのか、バイなのかということ。
女性はみんなゲイだと思うと回答していたのがおもしろかったです。
対して男性側はストレートなのでは?という意見が優勢でした。
あと、「五回もした」「海辺でした」という記述、まるで「こんな俺はすごいだろ?」と言っているように受け取れて、笑ってしまったというお話もおもしろかったです。
子供っぽいところを感じたとのこと。確かに。
主人公は育ててくれた祖母のことをよくは思っていない(女性への反感)、そこにナルシシズム、病弱な自分への不満、死への恐怖、そういうものがあわさって、ねじれを起こして、流血する男性のトルソーへの欲望が生まれたのかもしれないというお話もすごく興味深かったです。
コンプレックスと恐怖と思い込みの激しさがあわさって、反転し、弱々しい自分とは正反対のたくましい男性傷つくということに、欲望を感じてしまう、と。
だからストレートである、というお話でした。
また、あの時代、同性愛は今よりずっとタブーだったはずなのにこの作品を評価した文学界はすごいとか、この作品は三島が若いころに書いたものなので粗削りなところがあり、しかしその分若々しさにあふれている、とか、このあとの三島文学の大元になる作品としても興味深いなど、いろんな観点からの意見が聞かれました。
園子に対してはみんなが好意的で、主人公の性的趣向については気づいていなというところでみんな意見が一致しました。
本当にいろいろな意見が聞かれて、今回も楽しい読書会でした。
同じテーブルだったみなさん、ありがとうございました。
ここからは、私自身の作品に対する感想です。
前半は妄想の世界のひとり遊びで、後半は成長して妄想の世界にだけいることができなくなっていろんないびつさが出てきてしまう。
彼の妄想は残虐に描写されているけれど、平面的というかPVみたいな感じで現実感がないんですよね。血に興奮しているけれど、妄想に匂いや温度が感じられない。想像の中の清潔な処刑。絵本の中のケーキみたいに、現実には存在しない美味な食べ物。私は彼の妄想をそう感じました。
だから近江や他の男性についてあれこれ妄想するけれど、彼らの人間性はまったく無視している。中学生がアイドルとの恋愛を夢想するのと違いはないのでは。子供なんだなあと思いました。
私は主人公をゲイだと思っていますが、ひょっとすると、男も女も愛せず、ただ妄想のみとしか交われない悲しい人なのかもしれない。
でも後半、園子と結婚できないことを母親に言ってもらおうとか、結婚した園子に会ったときに「僕は結婚したくないと言ったんじゃないよ、まだ学生だからと言っただけで、君が勝手に勘違いしただけじゃないか」等々の言い訳をするところに非常にいらいらしました。
自分が悪者にならないようなものの言い方が気に食わないのです。誠実さがない(でもこの「悪者になりたくない」という気持ちは私の中にもあって、過去にくだらない言い逃れをしてしまったこともあるので同属嫌悪ですね。本を読むと自分を突きつけられて嫌になることがあります。これも読書の醍醐味)。
園子に対してずるずると執着しているのですが、ひょっとしたら友達になりたかったのかも、と思いました。会って話してただ楽しかったんだろうなと。園子はちょっと鈍感なところがあって、品があって疑うことも知らなくて、そこがよかったんでしょうね。
今回みなさんが優しくて楽しくてはしゃいで、調子に乗っていろんなことをぺらぺらしゃべってしまったなあ、と反省しています。
今度は大人の女性として落ち着いて自分の意見を話せるようにがんばろう。