※本ブログは猫町倶楽部の許可のもと、外部公開しております。

・課題本選択理由
今回の読書会は課題本選択制なので、申し込み時にどの本で参加するのか宣言する必要がある。
私が選択したのは課題本B『アフターデジタル2 UXと自由』だ。
「2」とつく通り、課題本A『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』の続編のため、
「課題本Bを選べば課題本Aの内容についても話せるかな」と、
こちらを選んだ(一応、両方とも読んでいる)。

第1章に前作の概要が書かれているので、
これから読書会に参加したい人や、
本自体に関心があって読んでみたい人は、
『アフターデジタル2 UXと自由』を選ぶと一石二鳥でお得かもしれない。

以下、読書会の内容と私の感想です。
私はシステム提供側の人間ではなく、
システム利用側の人間なので、その立場で書いています。

・中国におけるオンライン決済サービスの強さ
■ 3-1 日本はアフターデジタル型産業構造になるか?
「ここで掘り下げたいのは、日本の決済プラットフォーマーです。誰がその座に就くのか、まだまだ分からない状況です」

「どの企業がその地位になったとしても、中国の2強ほどは強くならないと考えています」

全体を通しての感想は、「中国、ぱないの!」だ。
なぜ中国は決済のほとんどをデジタル化できたのに、日本はできないのだろうか。
このテーマが読書会の中で一番話題になった。
決済会社の数が多すぎる。店が負担する手数料が高すぎる。年配の人が電子決済に抵抗感があるなど、様々な意見が挙げられて、読書会が盛り上がった。
総時間の7割くらいこの話で持ちきりだった。

唐突な自分語りで恐縮なのだが、
私は現在、電子マネーほぼほぼオンリーの生活している。
メインのクレジットカードが三井住友カードなので、同じ系列の「ID」と、
たいていのお店で利用できる汎用性から、
「Suica」(IDから入金)を使用している。
電子マネーオンリーの理由は、硬貨や紙幣を手渡しされるとコロナに感染するからという理由ではなく、
家計簿をつけるのが面倒くさいので、決済を全部ひとつの電子マネーですれば、
利用明細書を見るだけで、今月いくら使ったのか簡単に把握できるからである。
浪費癖を治したいのだ。経済版レコーディングダイエットみたいなイメージね。

キャッシュレス生活を実践していて何より感じるのが、
「市場の寡占や独占のデメリットは認識しているけれど、
さっさとプラットフォームを統一してくれ」
である。
巷のお店を見渡してみると、
ほぼすべての電子マネーが使用可能なお店は、コンビニエンスストアくらいしかない。
大手チェーン店であっても、
PayPayしか使えない。Suica/Pasmoしか使えない。
Edyしか使えないなど、特定のブランドしか使用できない店は珍しくない。
また、謎なのが薬局は電子マネーが使えるくせに、病院は現金オンリーということ。
電子決済に対応している保険利用の病院に出会ったことがない。

利用側としては、管理が煩雑になるので、
たくさんの決済サービスを利用したくないのだ。
あと、消費者心理として勝ち馬に乗りたいというものがある。
誰も使っていないサービスには手を出したくない。
特に事前に入金するプリペイドタイプだと、
解約時にチャージしたお金が返ってくるのか不安になる。
入金したお金を買い物で使い切ればよいのだけど、それも面倒くさい。

販売側にとっても、決済会社に支払う金額は売上金額の一部であり、
決済サービス利用料を支払うわけではないとはいえ、
カードリーダー端末の用意や決済システムの導入など、
初期コストがかかるため、あれもこれもと手が出しにくいだろう。
キルケゴールじゃないけれど、あれかこれかにならざるを得ない。

日本の場合だと、もうちょっと時間が経って、
プラットフォーム会社がある程度淘汰されない限り、
完全オンライン決済社会は実現できなさそう。
鶏が先か卵が先かの理論になるけれど、
決済プラットフォームサービスの数が少なくなれば、
そのサービス利用者が増える。それに伴いその決済サービスを導入する店も増える。
そしてまたそのサービスを利用するために利用者が増えるというように、
淘汰までは時間がかかるけど、
ある瞬間から一気にオンライン決済が爆発的に広まりそう。
欲に目をくらませた決済会社が、決済手数料の割合を増やしたりしない限りは!

中国の場合、共産主義で管理経済なこともあって、
決済プラットフォームを提供する会社が無駄に乱立することなく、
中国人の自国の通貨に対する信頼が低いことも背中を押して、
速やかに電子マネー決済に移行できたのではないかと考えた。
このあたりどうなのでしょう。

・ポジショニング戦略のすすめ
■2-2 決済プラットフォーマーの存在意義
「アリババのアリペイと、テンセントのWeChatペイにおいてもそれが反映されており、異なる利用シーンで使われるため、ほとんどの人がアリペイとWeChatペイの両方を使っている状態にあります」

「また、アリババとテンセントが同じカテゴリでサービスを提供していても、異なるミッションでそのカテゴリを捉えているため、同じようなサービスにならないのです」

■2-5 「価値の再定義」が成否を分ける
「初めは『サードプレイス』という価値に固執し、デリバリーというユーザー側の利便性を無視したスターバックスでしたが、『ユーザーが既にその便利さの向こうに移行している』という現状を捉え直し、『スタバらしいデリバリーとは何か』『アフターデジタル型のスタバが提供すべき価値とは何か』を再定義した跡が見られます」

「これは推測でしかありませんが、おそらくデリバリー浸透時代のスターバックスは、『いつでもどこでもサードプレイス化できるという価値を提供すべき』と捉え直したのではないかと考えています」

上記引用はアフターデジタルにおける事例であるものの、
コロナ禍で苦しんでいる現在の日本でも参考にできるのではないか。
コロナの影響により、大人数が同じ空間を共有する飲食業界やエンタメ業界、
サービス提供時に他者と近距離で接客しなければならない美容業界や教育業界など、
上記に挙げたビジネス以外にも、多数の業界が大打撃を受けてしまった。

嵐が過ぎ去るまで耐えればいいという意見もあるだろうが、
コロナが収束しても、社会や顧客の価値観が変化してしまい、
今までと同じようなビジネスを続けることが許されない予感がする。
それはUber Eatsを利用した料理の宅配や、Zoomを利用した英会話といった、
単にテクノロジーを利用すれば解決できる話ではなくて、
各企業や業界のビジネスモデルの再定義に関わる根本的な問題だ。

この問題を解決するにあたり、ポジショニング戦略が役に立つと考えた。
ポジショニング戦略を簡単にいうと、
自社サービス・商品の独自の役割を顧客の頭の中に認知してもらうための理論・手法である。
これができないと、自社のサービス・商品が、数多あるライバル企業のサービス・商品の中に埋もれてしまい、客に選ばれることがなくなってしまう。

ポジショニングの方法は主に二種類ある。

1 自社の商品・サービスが、他に類を見ないものであると認識させる
2 自社の商品・サービスを他社のそれと比較したときに、
 パーセプションマップ上の相対的に優位な場所に位置付ける

「それって単なる差別化でしょ?」と思われるかもしれない。
しかし、ポジショニング戦略のポイントは顧客の認識を変えることであって、
商品・サービスを直接的に改良することではない。
そのため、うまくハマれば、
金銭的コストが小さい(せいぜい広告・宣伝くらいか)割に、大きな効果が見込めるので、
個人事業主や中小企業におすすめである。
ビジネスだけでなく、日常生活でも応用がきくので、
興味がある人は学んでみてほしい。

・読書会と猫町ラウンジ
■3-3 「デジタル注力」の落とし穴
「ハイタッチ、ロータッチ"で得られた信頼や関係性を、
テックタッチでの高頻度な行動に還元し、テックタッチで得られたユーザー行動を基に、
再度ハイタッチやロータッチに誘導したり、別のアクションをお勧めしたりしています。
このように、デジタルとリアルの接点におけるそれぞれの強みと弱みを使って、相互に行き来できるようなUXを作っていくことで、
ジャーニーとしてつながっていき、ユーザーが使い続けてくれるようなサービスになっていくわけです。」

ここを読んだときに、
真っ先に頭に思い浮かんだのが猫町読書会と、

猫町ラウンジ(2020年8月にスタートした猫町倶楽部運営のSNS)の関係だった。
読書会の最中に話題に出すか出さないかで迷ったけれど、
猫町ラウンジに参加していない方もいらっしゃるので、
話に入ってこられず蚊帳の外になるのを恐れてやめた。

私は7月くらいからオンライン読書会に参加し始めた。
当初、オンライン読書会とは、オフライン読書会の代替品であり、
コロナが原因で会場が借りられないから、
仕方なくオンラインでやっているという認識であった。
ところが、オンライン読書会にしばらく参加し続けていくうちに、
「これは劣化版オフライン読書会ではない」という意識が芽生え始めた。

オフラインのときは、同じ日本でも、関西・名古屋・関東の地域で閉じていた。
たとえば関東の参加者が、関西・名古屋の方と交流する機会はほとんどなかった。
(課題本やイベントによっては、そのために遠征してくる豪の者がいらっしゃる)
しかし、オンラインになってからは、地域という壁が崩れて、
地域を意識することなく、一緒に読書会に参加することができるようになった。
しかも、イギリスやシンガポールなど、日本どころか海外からの参加者もたまにお見かけする。

従来のリアル読書会で、
「読書というインプットを、読書会というアウトプットで一層深める」は
十分に実践されてきた。
そして、「読書会の場で多様な人の思考に触れ、新しい視座を得る」、
「新しい視座が、新しい本、新しい世界へとあなたを導く」は、
オンラインになって実現速度が一層加速してきたように思う。
最後に、まだまだオンライン読書会黎明期なので、これからどうなるかわからないけれども、
猫町ラウンジによって、
「この循環によって、読書による学びを一生涯続けていくこと」
の理念を実現しようとするのだろう。
このように考えると、猫町ラウンジのモデルはよくできているなと脱帽する
(私が勝手に書いているだけで、実際にどうなのかは知らないのだ・・・)。