先日、村井康彦さん著「千利休」の読書会に参加しました。


読書会の班は歴史クラスタの方や藝術部サポーターが多く、各自それぞれの利休像について語り合い、大いに盛り上がりました。私は「芸術家・利休」としての知識しかなかったので、政治における利と信長、秀吉、三成、細川忠興、古田織部との関係などについて、見識や見解を共有いただき、理解を深めることができました。疑問があった時に質問するとSiriみたいに返答してくれるので、助かったし面白かったなぁ・・・


ここからは、自分と利休との出会いとその後に読んだ本の話になります。


私はもともと茶道や利休には興味がなかったのですが、関西に転勤したときに、断片的に利休に関することを知るにつれ、興味を持つようになりました。


大徳寺山門の特別公開。(木像も見ました。不気味だった・・・)

つきあいで行った湯木美術館。初めて黒楽を見て、その黒さに驚いたなぁ。同じくつきあいで行った藤田美術館。夏の茶事の展示だったか、茶道にはテーマが設定されていることを知りびっくりする。(そんなことも知らないレベルでした)飲み終わると底が月のように見える茶碗と月に関する掛け軸とか、西王母の茶碗(桃も描かれている。桃は中国で不老長寿の果物)と中国の掛絵とか。うろ覚えですが。。。この辺から、もしかして利休ってとんでもなくクール!? 茶道ってとんでもなくハイコンテクスト!?と思い始める。


東京に戻る前に、堺の「利晶の杜」にある復元した「待庵」に行き、説明を聞き更に驚く。待庵は約2畳の、当時からすると実験的なサイズの茶室。黒くて、暗くて、狭い。でも入ってみると意外に広い。学芸員の方曰く、天井の構造や窓の配置、炉のサイズや位置、花入れの位置などによって、実際に広く感じられるような意匠がこらされているとのこと。利休に今まで持っていたイメージがここで完全に崩壊。利休って、もしかして建築家要素ももった、今でいうインスタレーションアートと同じ感情を想起させることができる芸術家なのでは・・・?


この辺で東京に戻り、利休探訪が中途で終わってしまったので、今回の読書会はとても有難いものでした。利休に対する探究の火の種をまた掻きおこしてもらった、という点でも、今回の読書会に参加して良かったです。


その後、その火種を絶やすことがないよう、以下の本を、その後 アマゾンで購入したり図書館で借りたりして読んでます。


・赤瀬川原平「千利休ー無言の前衛」

タツヤさんが言うように、映画「利休」の脚本を赤瀬川氏が請け負うにあたり書かれた本。人物像がつかみにくい利休を、いかに脚本の中に書きおこしていくかや、氏らしく、トマソンやアンデパンダンなどを例にとりながら解説。ただし、やや散文的な印象あり。


・長尾晃「千少庵茶室大図解」

待庵に感動した自分が求めていたのは、正にこういう本なのだけど、いかんせん難しい・・・!じっくり読むためにとりあえず積ん読


・千宗屋「茶 利休と今をつなぐ」

こんな素晴らしい茶道が、なぜ現代ではお嫁入のための作法みたくなっているんだ・・・とブツブツ思っていたけど、その疑問への答えがありました。”武家の典礼とされていた茶の湯は、江戸時代的な価値観をすべて否定することから始まった明治時代、大変な苦境に立たされ、生き残りをかけて、「礼」「作法」へシフトすることを選んだ” ・・・た、大変失礼しました・・・


・神津朝夫「千利休のわびとはなにか」

わびさびについての本かと思ったら、偽書と呼ばれる「南方録」や、武野紹鴎との師弟関係に疑義を呈するような本でした。・・・当たり前のように書いてますが、「南方録」とかも全然わかってない私。これからいろいろ勉強が必要だなぁ


・「茶碗と茶室 茶の湯に未来はあるか」

この本がいちばん自分の興味にしっくりきたかも。茶碗や茶室、やっぱり実物で見てみたいな。自分で勝手に妄想している「利休ツアー」での行きたいところが更にふくらむ。


行きたい茶室→大山崎の待庵から、古田織部の藪内燕庵に行ってみたい。暗い茶室から光のある茶室に行くことによって、師弟の考えの差を感じられるような気がする。


見たい・欲しい茶道具→「茶碗と茶室」に出てきた長次郎の「ムキ栗」、レプリカでもいいから欲しいなぁ。(冒頭の写真のお茶碗です)茶道のルールは全然わからないけど、家で簡単に点てて飲んでみようかな。あと、単純に「紹鴎茄子」とか見たい。


現時点では妄想にすぎない「利休ツアー」、いつか実現できたら良いな~


あ、あと班で皆さんがしきりに言っていた「へうげもの」をこれから読みます!