名古屋駅にある本屋さんの新刊コーナーで『限界から始まる』が平積みされており、
ネーミングにちょっと気になっていた。

「限界」という言葉に心をゆれ動かされる。
とってもネガティブなイメージがあるけど、新しい世界が見えるという意味ではポジティブとも言える。

上野千鶴子さんの本なので、フェミニズムに関する本なのかぐらいしか思い浮かばず、
当日は、別の勉強会があったんですが、好奇心から直感で参加することにした。
行き当たりばったりの人生の方が楽しいですよね。
別の勉強会の方々にはごめんなさい。

『限界から始まる』の感想として、人の本性は手に負えない。
でも、手に負えない時と思った時、初めて自分の限界を知る。
それは強さであり、乗り越えたいと思う。
この本のネーミングセンスに、ぐっとくるものがある。

まずは、トリコ組の皆さん、お疲れ様でした。
初回で180名の参加者がいながら、円滑に運営されて、まさにプロフェッショナル!
ありがとうございました。

また、上野千鶴子さんに質問をするのは、すごい!
自分だったら、正直、胃が痛くなります。
きっと、東大のゼミや学会等で上野先生から質問されると、しゅんとなるよと思いつつ、
きちんと評価するところは評価するスタンスは、生き様を感じる想いでした。
あと老婆心ですよね。それは、鈴木涼美さんにも向けられていて、
こういう大人を見ると、人生捨てたもんじゃないな。

鈴木涼美さんのような方は、
タイプは違えども、東京の友人にそれなりにいて、身近に感じます。
条件付きの愛で人は育つと、何となく不完全な気分になり、
難しい本を読める知性があると、色々気づき、コントロールしようとして、
しまいには、切れるか、諦めるかを選択しがちです。

切れた後の後始末係になると、手に負えないなと思っておりました。
本当に大変。
自分も切れることあるし気持ちはわかるけど、解けそうで解けないほど
絡まっているし、疑惑のデパートならぬ、めんどくさいのデパートである。

でも、人生数回は、手に負えないけどやらなくてはいけなくて、
仲直りしてもらえると、ちょっぴり人生は悪くないものだと。
それなりに年になれば、やらんとあかん。
これは、子どもから大人の視線になる、成熟するってことなんでしょうかね。

上野千鶴子さんと鈴木涼美さんの関係は、部活の先輩・後輩のような
暑苦しい、かつ居心地の良い関係な気がしています。
鈴木涼美さんは、上野千鶴子さんが歩いた道をおそらく歩くのかな。
死闘をしながら、他者に対する寛容を手に入れる。
大人の、大人による、大人のためのエールになる。
人生もがくのはつらいけど、好きで好きでたまらない、そんな人生もありですよね。

正直に言うと、上野千鶴子さんがここまで自分の内なる感情をさらけ出し、
捨て身になるなんて、意外でした。ビッチと言われているし。
人が変われるのは自分ではなく他人のためだとすると、やはり老婆心であり、成熟とも言える。

「成熟とは自分のなかの他者の吃水線が上がることだ」

この言葉は胸に収めておきたいです。

仮にお父ちゃんになったら、娘に言えるのは、
ぐるぐるしているのって、大変だよね、うんうんわかる
(娘的には、わかってないもんと思われるんでしょうけど)
ハーゲンダッツを買いに行こうかと言って、歩きながら話を聞いてあげたいですね。
子どもや大人は、時々軽い嘘をつくけど、それに気付ける大人でありたいものです。

『限界から始まる』も同様に、
9月の『三つの物語』、『トパーズ』『星の王子さま』の選定も
とてもぐっとくるものがありました。
人間の本性と何ぞやを考えることができました。

では、よい週末を。