読書会後の著者のお話で、
■人々がギョッとするものが今、本当に必要■
    それはもはや
        ・ゲリラ的なもの、
        ・ローカル的なもの(岐阜の地歌舞伎のような)、
にしか期待できない。そのためにアマチュアのレヴェルが大事。

というお話が、特に自分にささりました。

    逆に、聴き手として「ギョッとする感性」は常に磨いておかないといけないな、とも思いました。
    
    自分のここ5、6年で一番ギョッっとした音楽体験は、名古屋・今池のライブハウス「TOKUZO(トクゾー)」で、フリー・ジャズ/ノイズ音楽を聴き始めたことじゃないかと思います。大友良英さんとか渋さ知らズとか、本田珠也さんとか…。名古屋の音楽家だとサックスの小埜涼子さんやトランペットの石渡岬さんが素晴らしい!

    「ゲリラ的」という意味で、岡田先生の上記発言は、著書で引用している平岡正明『大道芸および場末の自由』を念頭に置いているものと思います。

    『大道芸~』で描かれる横浜・野毛から連想される街として、東海地方では名古屋の今池がまず思い浮かびます。TOKUZOを筆頭とするライブハウス、映画館のシネマテーク、書店の千種正文館、昔から続く在日外国人のやってるお店(そのクラシックのレコ屋は残念ながら閉店)…。コロナで中止が続いていますが、30年以上の歴史がある「いきいき今池お祭りウィーク」(通称・今池まつり)はゲリラ性の固まりみたいな音楽イベントです。運営スタッフはボランティアではなく皆「パルチザン」と呼ぶそうです。

    そういえば、岡田先生も朝日新聞の音楽評で「パルチザンは都市にはいない。森に潜んでいるのだ」という指揮者テオドール・クルレンツィスの言葉を引用していました。
    
    全国でゲリラ的な魅力あふれる土地があったら知りたいな、と思っています。
    
        ちなみに、今年読んだ音楽の本で抜群に面白かったのは、『フリー・インプロヴィゼーション聴取の手引き』(ジョン・コルベット著、工藤遥訳、2019)でした。

    2022年も、予想がつかない年になりそうです。予想がつかないなら、フリージャズに限りませんが、そういう予想もつかない音楽に耳を傾けたいという気持ちが高まり、師走を迎えます。