女性たちが知らず知らずのうちに社会から受けていた抑圧から解放され自由な選択ができるようになるための気づきのための本。前半は、今あるジェンダー問題や歴史などの説明がされている。後半は実際に著者が講義した内容で、ディズニープリンセスの話を観てそこに潜んでいる女性観を読み取るというもの。当時の学生の感想をそのまま載せていて、そこに著者の解説と考えを足している。


この本の前半の内容は物凄く自分の中でわかるなと思って読みました。

両親それぞれの理想の娘像になれずに苦しんだことがあったので自分の性別が正直よくわからない、確実に男性ではないけど世に望まれる女性ではないなと感じていて、特に若い頃は生きることに対してしんどさがあったので、ジェンダーとかそれ以外でも人への決めつけ、カテゴライズによる押しつけはない方が良いと思っているので、同意しながら読んでいました。

今でこそひねくれているけど幼い頃は素直だったので、それこそプリンセスに憧れていた時もありました。なのでキラキラした女性的なものに憧れることに罪悪感がなかった場合、違う人生であったかもと思うことがあります。

たまに働きたくないと思った時に専業主婦願望が湧くときもあるし、是と思われやすいカテゴリーに入った方が楽だろうなと思う時があります。

そういう時、世代にもよると思いますが、やはり「女性は嫁いで家の中に入る」という意識は根付いているのだなと実感させられます。

そういう感じでジェンダーって人生にくっついてくることだから読みながらなんとなく人生を思い出してました。

読書会の参加者が多かったのってそういう部分を刺激された方が多かったからなのかなと勝手に思っています。



本の内容はわかるし、ジェンダー問題をなくして男女ともに生きやすい社会になることが目指すところだとは思いますが、後半の学生の感想に対する著者の評価をよむと、著者の女性観に偏りを感じあまり好きではないなと思いました。

読書会で同じテーブルになった女性に著者の言う女性とは自分は違うから違和感を感じていた方もいらっしゃったし、私もその中に入ってないと感じたので著者の中での「女性」が凄く限られたそうなのではと感じました。

おそらく、著者のように賢く自立した女性と、社会が望んでいる可愛く従順な女性の2種類しかないと思っているのでは?

読み取りが深いと評価した感想を書いた学生に対しては賢い。

プリンセスに憧れるような感想には浅い。

著者は読み取りの浅い学生が自然に気づくように何も言わないというようなことを書いてあったと思うが、無意識にお姫様思考は賢くないというメッセージが伝わっていたのではないかと気になった。

そもそもこの本でのジェンダー学的に良しとされる物の読み取り方が、はなから抑圧された女性像を作者の実際の意図とは関係なしに勝手に見出して被害者になって終わりというように感じました。

この本が発行された時代を考えると、まだジェンダー意識が低かっただろうし、今までの男社会が強かった分、強く言わないとジェンダーフリーへの道が開かれないからこういう感じだったのかなとは思います。

そして著者のような方々のおかげで昔よりは良くなっていてその恩恵を受けていると思います。

でもなんとなく苦手だなと感じました。


結局のところジェンダーフリーが目指すところだとは思いますが、著者には男性に対して多少なりの敵意があるのかなと感じました。それは男性と肩を並べて働くことができたからなのではないかと思います。著者は家庭環境も良く才能があったからそれができたけど普通の女性はなかなかそうもいかないのではないかと思います。特に著者が若い頃の時代は。人によっては今までの女性観どおり家庭の貞淑な妻が向いている人もいるだろうし、男性を転がして生きるのが向いている人もいると思うんです。

だけど学生の感想への評価を読むと女性の生き方の多様性はあまり考えていないのかなと思い、著者の理想とする女性像になるための考え方の押しつけに感じました。


人の考え方はそれぞれで矯正できるものではないし、今までの男女観が生きやすい人も一定数必ずいると考えると、社会制度上での性差がなくなっても意識としてはなくなることはないのではないかなと思いました。

社会的に是とされる人されない人全てひっくるめて、上手に住み分け共存できるような意識が根付いたら良いのかと思いました。


最後は飛躍してしまった感がありますがそういう感じです。

個人としての男女観についてはあるのでなんとなく感想はでてきますが、社会という大きな視点だとどうするのが良いのかというのはわかりませんでした。


ここまで読んでくださった方、同じテーブルだった方、ありがとうございました。