猫町倶楽部 藝術部「ベートーヴェン なめんなよ」読書会3回目。音楽ライターの小室敬幸さんのレクチャーもあり、約5時間たっぷり楽しんできました。


課題本は『ベートーヴェンとピアノ 「傑作の森」への道のり』、著者は日本を代表するピアニストの小山実稚恵さんとベートーヴェン研究といったらこの人の平野昭さん。


2冊のうちの1冊目ということで1804年までの曲のみ。しかもピアノ関連曲ということでピアノ・ソナタ以外も含む、ということで知らない曲が多かったですが、駆け出しのベートーヴェンがどのように自分の独自性を出していくのかの経緯を辿れるのが面白かったです。

著者のお2人がすごく楽しそうに対談されていたのもあって、聴くきっかけとしては好適な本でした。


ただ、楽譜が出てくるし専門用語も多くて難しかったです。読書会でも難しかったという感想の人ばかりでしたが、聴いて印象に残った曲は何? 読了してベートーヴェンのイメージは変わった? タイトルがあるとイメージしやすいよね、などの話題で盛り上がっていました。


小室さんのレクチャーは「クラシック音楽」と「その他の音楽」の違いや、課題本著者のバックボーンなど幅広い範囲。

音楽を流しながらの構造の解説もあり分かりやすかったです。


1番印象に残った小室さんの言葉。

「たくさん知識があると自由になれる」

「ただ、この本は分かる部分だけつまみ食いして読者それぞれの聴き方をしてほしい。完全に理解できるということは著者の小山さんや平野さんのコピーになるだけ」


藝術部に限らず他の読書会でも通じる言葉だなと思いました。

今後、曲を聴き進めていってからこの本に立ち返ると、少しは内容が理解できるようになるのかなと思います。


また、「どうやったらクラシック音楽の知識を付ける気になるか?」という問いかけのお話もあり、本当に難しい問題だなと思いました。

漫画や小説でクラシック音楽がテーマでヒットした作品はありますし、猫町倶楽部で夏から始まったオンラインオペラ会で関心を持ってくださる方々もいらっしゃいますが、そこから深入りしてもらうためにはどうしたらいいのかというのはクラシック音楽を布教したい身としては悩むところ。

絵画とは違ってリアルタイムで解説も難しいですし。(でも解説付きのリハーサルは聴いてみたい)

私自身はクラシック音楽をよく聴くようになりコンサートへ行くようになってきたら、"聴きどころ"を知りたくなって本を読んだり、大学で教養の授業を取ったりしていましたが、時間があって学生券もあったからこそだなと思っています。

やはり小室さんのような音楽家の想いを伝える架け橋となる人が重要だなと思いました。


他に印象に残った小室さんの言葉としては、

「(クラシック音楽は)必ずしも馴染みやすくはないが、聴いてみたいという一種の憧れを生じさせる音楽」「背伸びする」

読書会で『源氏物語』のような長編や難しい哲学本に挑戦するのと共通の気持ちだなと思いました。

あと、初心者におススメのベートーヴェンの曲(ただし「運命」以外で)を質問したら、最近の読書会で自分が推していた「交響曲第7番」というお答えでお墨付きを頂いたので、今後も引き続き推していきたいと思います。