半年ぶりぐらいにオンライン読書会に参加してきました。
    上野千鶴子&鈴木涼美のお二人のトークショーという絶対面白そうなイベントなので、これは行かなければ。という勢いのまま読書会にも申し込み。最初はペースを掴むのに時間がかかったのですが、参加してよかったです。
    本はお手紙の形式なのでそんなに読むのに時間はかからなかったのですが、語るとなると話題の範囲が広すぎる感もありポイントを絞る必要がある。そんなわけで、うちのテーブルでは主にお仕事における男女差や、会社の制度についての話題がメインでした。形としては存在しているのに、どうにも使いにくい育児休暇の制度。相変わらず存在する女子のみに割り振られるお茶汲みの役割。社内間での男女差の比率の差によってもたらされるもの、などなど。
    日々の生活に身近な話題ということもあり、課題本で具体的に記述された文章よりも、そこから想起される日常的な光景が話題の中心になりますが、それでもゲストのお二人の言語化能力と頭の回転の早さにびっくりした、という意見がちゃんと出るところは、やっぱりすごいですね。
    個人的に話してみてけっこう反応があって面白かったのが、男性として生活していると気付きにくい女性が被りやすい不利益の例としてあげたセキュリティー意識の話。
下着を干す時に盗難などの被害に合う可能性を、女性は意識的にしろ無意識にしろ考えるが、男性はほぼ全く考えないという事。ほかにもストーカーや痴漢対策など男性の目には入りにくい、女性のみが負わされている無数のコストがあると思いますが、女性側からすると男性がほとんど無防備に生きているというのが意外な事実に感じられるという側面もあるんだな、と思いました。部下から告げられた妊娠出産に対して、祝う気持ちよりも先に休まれたら困ると考えてしまい自己嫌悪に陥った女性上司のエピソードと共に、Twitterで拾った話題が意外なところで役に立って良かった。Twitterをだらだらと眺めている時間は無駄ではなかったのだ。
    ところで、読書会に参加する前に個人的に禁じ手にしようと決めていたことが2点あって、『女性が辛いのと同じように男性も辛いのだ』という「辛いのはみんな一緒」系のまとめ方と。『この本に書かれているようなひどい男性は一部であって、自分を含む大多数の男性は関係がない』という「悪いのはあいつであって僕じゃない」系の切り離しの二つです。どちらも同性として、それを言いたくなる気持ちが全くわからないわけでもないのですが、フェミニズムの本について語るには無用な対立を招きやすく、あまり意味があるとも思えないので、このルールはこれからも続けていこうかな、と思いました。(もちろん他人に強制するものではありません)
    読書会の話題が長くなったのでトークショーについては簡単に。上野さんは言うべきことをきちんと言っていてとてもかっこよくて憧れるのですが、一方で普段自分は言うべきことを臆せずちゃんと言えてるだろうか、と反省する気持ちにもなりました。鈴木さんも自分の感覚と違う意見にはきちんと反論していて、受け止めつつも、それはちょっと違うよね、と言える女性であることが、上野さんから見込まれるだけあるなぁ、と思いました。
    高校生ぐらいにたまたま出会った本に、フェミニズムは女性だけでなく男性も含めた社会に違和感をもつ全ての人を助けるもの、と書かれていたのが人生の支えになっている所もあるので、第二回以降も日程があえば参加したいです。