奇しくも、これまで名古屋シネマテーブルが定期開催されていた月末最後の水曜の夜。
翌日が中秋の名月だったそうで、薄明るい空に丸い月がぽっかり浮かんでいました。
天使のまなざしのような月明かりのもと、駆け足で向かう先が伏見のNov.cafeではなく、自宅のPCの前であることに一抹の寂しさを覚えつつ…。
それでもZOOMに繋げば、馴染みの顔、はじめましての顔が画面いっぱいに並びます。猫町倶楽部の楽しさはオンラインでも何ら変わりません。

コロナ禍を機に、猫町倶楽部がオンライン化に向けて動き出してはや半年。オンラインシネマテーブルも第4回目の開催となりました。
9月の課題映画は、ヴィム・ヴェンダース監督作品『ベルリン、天使の詩』です。
9/4(金)、9/20(日)、9/30(水)と計3回企画され、のべ73名の方にご参加いただきました。
あらすじ
廃墟の上からベルリンの街を見守る天使たち。地上の人々に寄り添いながら、天使は彼らに触れることも語りかけることもできない存在だった。
ある日天使ダミエルは、サーカスの空中ブランコ乗りの女性マリオンに出会い、恋をする。しかし人間に恋をした天使には、ある運命が待ち受けていた。


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『ベルリン、天使の詩』は、公開当時、30週を超えるロングランヒットを記録し、劇場を移して1年以上も上映され続けました。80年台後半のミニシアターブームを代表する作品です。

主人公の天使ダミエルは、日々モノクロに映るベルリンの街中を散策し、誰彼と無く人々の傍に寄り添い心の声に耳を傾けます。
もの寂しく空虚な世界で、“子どもが子どもだった頃”で始まる象徴的な詩を筆頭に、哲学的かつ難解な台詞が続きます。

そんな前半部分では、本筋とは関係のないすれ違う人々の台詞がやけに心に響いたり、様々な人生をつまみ食いするようで興味深かったとの感想がありました。
一方で、物語の設定を把握するまで睡魔との戦いでしたと告白する方も続出…。皆さま眠たかったのが自分だけではないと知って、一気に会の雰囲気は和やかに。
シネマテーブルは映画について語る会とはいえ、高尚な考察ばかり飛び交うわけではありません。
素直な感想や参加者の思い出話から話題が広がり、意外な盛り上がりを見せることも。あまり身構えず、どうぞお気軽に発言してくださいね。

もっとも、当時の西ベルリンの市民が観る『ベルリン、天使の詩』は、あらゆるシーンで執拗に連合国による占領の事実を突きつけられ、退屈だなんて呑気な感想を言ってはいられなかったはず、との指摘も。
時代や人種によって、これだけ異なる感想を抱く作品も珍しいかもしれません。

本作は1987年に公開され、壁崩壊直前のベルリンが舞台です。
廃墟のまま保存されているカイザー・ヴィルヘルム記念教会、壁の境界上に位置していたため、瓦礫に埋もれたポツダム広場etc。一つの国家・国民が分断され、孤立した人々は誰とも打ち解け合うことなく不安に苛まれています。
そんな状況に、同じ敗戦国でありながらバブル経済の絶頂期を迎えていた当時の日本と比較して、戦争の傷跡の生々しさが衝撃だったとの感想もありました。

ベルリンを訪れたことがあるという参加者曰く、今では冷戦時代の面影は全く残っていないそうです。当時この街が放っていた感覚は、もはやベルリン市民の記憶と映画等の記録の中にしか存在しません。
東西統一のわずか2年前。どこか寂しいベルリンの街並みを堪能できる点からも、本作は貴重な映画と言えますね。
やがて愛に目覚めるダニエル。
モノクロの映像美から世界が鮮やかに色付く瞬間に、多くの方がはっとさせられたようです。
傷口から溢れる血の赤い色、感じる痛み、コーヒーの暖かさ。全てが天使にとっては驚きの初体験です。黒い外套からカラフルな服に着替えてはしゃぐダニエルの姿は可愛らしいと大好評でした。
監督が本作で描きたかったのは感動の源である”感覚”の素晴しさ、人間讃歌ではないかとの意見も。

壁や人種の隔たりを乗り越え、マリオンと同じ目の高さで生きることを選んだダニエル。2人の世界が合わさる様に、東西ベルリンが再び一つになる未来への祈りを強く感じたのでした。



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定例会終了後は、まだまだ話し足りない方に残っていただき、本編とはまた違う顔ぶれで30分ほどのおしゃべりタイムです。
課題映画についてさらに熱く語ったり、最新映画の話題で盛り上がったり。フリートークの部屋でのんびり雑談に興じる方もいらっしゃいます。

シネマテーブルでは、各設営ごと懇親会話題映画を設定しております。
今月の話題映画は、9/4(金)『海の上のピアニスト』、9/20(日)『ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー』、9/30(水)『TENETテネット』の3本でした。

コロナ禍以降、人数制限を実施していた映画館も続々と全席解禁されている様子。
一気に公開作品も増えて、久しぶりに劇場に足を運ばれた方も多かったようで、こちらの部屋は大層な賑わいでした。

※懇親会話題映画の鑑賞は任意です。未鑑賞の方でも定例会・懇親会のどちらにもご参加いただけます。


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さて、第5回オンラインシネマテーブルの課題映画は『劇場』でございます。

夢を叶えることが、君を幸せにすることだと思ってた—

お笑い芸人、又吉直樹原作の恋愛小説を行定勲監督が映画化。
劇作家を目指す青年と、彼を支える恋人の日々。夢を抱いてやってきた東京で二人の恋は始まるも、その関係は歪に変わっていく。

Amazonプライムで配信中。(30日間の無料体験あり)
開催日程と申し込みページは以下のとおりです。


①10月3日(土) 16:00~ 懇親会話題映画『TENETテネット』
 ※終了しました。


②10月13日(火) 20:30~ 懇親会話題映画 『#生きている』



③10月26日(月) 20:30~ 懇親会話題映画 『フェアウェル』




ラウンジサポーターのたくまさんが同時鑑賞会を企画してくださいました。


10月12日(月) 19:00〜

主人公とヒロインの振る舞いに一言申したい場面が続出の本作。チャット欄は大盛り上がり間違いなしですね!



それでは、10月のシネマテーブルで皆さまにお会いできるのを楽しみにしています。

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文:アネモネ(名古屋シネマテーブルサポーター)