■ 『マイルス・デイビス自叙伝』読書会

今回の範囲はアコースティック前期ということで、自分が好んで聴いていた時代のJAZZの話。マイルス・デイビスが名実ともに主役を張っていたJAZZ華やかなりし時代で、出てくるプレイヤーも名の知れた花形プレイヤーばかり。こういった人たちがことごとくマイルスと絡んでいて、その影響力の大きさがよくわかりました。この本、30年ほど昔に一度読んだことがあるはずですが、この辺りもほとんど覚えなくまたしても新鮮な感動を覚えていました。でも覚えていなくても、アーマッド・ジャマルの『POINCIANA』のCDが手元にあるのはきっとこの本を読んだからに違いないです。

ジャンキー話が多くて閉口したという意見が読書会で多かったのは同感です。でも、音楽シーンと麻薬はセットだったんでしょうね。マイルスは麻薬合法化して安全のために病院で処方すべきと言っていますね。それはどうかと。
白人のミュージシャンもやっていたのにそれは見逃されて、黒人ばかりがクスリに手を出していると書かれたという恨み節は、そもそもあなたやっちゃダメでしょと思うものの、白人に対して本来自分たちが得られるべきであったものを奪われたという思いは決して拭い去ることはできないのでしょうね。チェット・ベイカーをはじめとする白人プレイヤーにはそれもあってかとても辛辣です。特にトランペットやサックス奏者には手厳しいですね。

面白かったのは、それぞれのプレイヤーのマイルス評。
大御所感のあるソニー・ロリンズとも結構絡んでいたんだなあと思う一方、何だかあまり評価してない感じが。
あまり絡みのなかったクリフォード・ブランを若手トランぺッターで最高だと評価。どこでも彼は凄腕で、夭逝したのがJAZZ界にとってとても残念というもっぱらの評価ですが、マイルスがこう評価すると真実味が増してきます。ジャッキー・マクリーンにはもっと頑張って、と言いたくなる。マル・ウォルドロンとの「LEFT ALONE」はよかったよ、と言ってあげたい。
セロニアス・モンクとは喧嘩してないと言いながら、ニューポート・ジャズ・フェスティバルの後でも「ラウンド・ミッドナイト」の演奏が正しい・正しくないで言い争いしていて、もうこれは絶対仲悪いやつやと。音楽は評価しているので、まだ悪く言ってないだけですよね。
コルトレーンの評価はやはり抜群に高く、相性も抜群でぜひとも自分のバンドに置いておこうとしたのがよく分かった。『至上の愛』など求道者のイメージがあったコルトレーンまでもクスリずぶずぶだったのは意外な一方で、その後スパッと手を切ったのはさすがトレーン様という感じでした。フィリー・ジョー・ジョーンズの評価もとても高く、ポール・チェンバース、レッド・ガーランドの第1期黄金クインテットはマイルスご本人も相当にご機嫌なグループだったようですね。自分が初めてまともに聞いたJAZZ ALBUMがこのクインテットによる『’Round About Midnight』でした。ジャケットの赤いマイルスも恰好いいですよね。そういえば、読書会でバードが死んだときのマイルスの態度が冷たいという話が出ましたが、このアルバムに入っている「Bye Bye Blackbird」が、そのタイトルからバード追悼のためだという噂もあるとどこかで聞いたことあるのですが、そういう話は出てこなかったですね。


きっとこの本に書かれているようには整然と時系列に沿ってマイルスは話をしてくれなかっただろうから、インタビューをまとめたクインシー・トループも大変だったろうなと思いながら読んでました。

■ 小室さんレクチャー

第一回目に続き小室さんの解説がとてもわかりやすく、JAZZの聴き方を広げてくれるものでした。

ギル・エバンスとビル・エバンスの二人のエバンスが、マイルスが新しいことを推し進めるにあたってとても重要な役割を果たしたんだなというのを感じました。この二人が、あれだけ嫌っていた「白人」だというのもとても面白いですね。
「’Round Midnight」が同時期のマラソンセッションの一発撮りと違って、しっかりとギル・エバンスのアレンジが入っているという説明は、同時期にほぼ同メンバーで録音されたコロンビアの『’Round About Midnight』とプレスティッジのマラソンセッションとの印象の違いがそこにあるのかもと思って納得。

バード&ガレスピーと『Streaming』の「Salt Peanut」の聴き比べや、『My Funny Valentine』と『Cooking』の「My Funny Valentine」の聴き比べは、こんなに違うんだという気付きとその違いを生んだ背景まで解説いただいて、ひとつ成長した気がしました。ちなみに『My Funny Valentine』収録の「My Funny Valentine」はとても好きな演奏です。

モードにも程度があって、『Something Else』の「Autumn Leaves」のイントロはモードっぽいとか、『Kind of Blue』の中で「Freddie Freeloader」だけピアノがWynton Kellyでモードっぽさ薄い、などは、和音の説明は音楽的には全然わかってないのですが、とても分かった気になれて幸せな気分でした。
またスタジオとライブの違いで、スタジオ録音はその必要があるときにだけ行われたという説明にも納得。ライブ録音の『Four & More』での「So What」や「Waliking」がめちゃくちゃテンポが速くなっているのも驚きでした。

また、第三回も楽しみです!




■ ドレスコード: サングラス

今回のドレスコードはサングラス。そんなものは大学時代のお遊びスキー以来使っていないので、購入するよりほかなし。何かないかとAmazonを渉猟していると「スマートグラス」なるカテゴリーが目に入りました。柄の部分がスピーカーになっている言わば眼鏡型bluetoothイヤホンで、「スマート」を名乗るにはおこがましさ満載ですが、音楽つながりでちょうどいいやと。BOSE製のものが音はよさそうですが、やや値が張ってしまうので、骨伝導で音漏れしないみたいなことが書かれているこれにしました。
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木曜の夜中に発注すると金曜AMに配送されてきました。さすがAmazon。早速つけてみると、骨伝導の感じはまったくせず、音漏れ当たり前、そんなことは気にして設計してませんくらいで少々がっかり。外で使うこともおそらくなく、家の中でサングラスしているとやっぱり暗いので、もはや今日をもって用無しではと思うと不憫でなりません。

そして当日、ZOOMのバーチャルフィルターが使われているのを見て、「やられた...」と思ったのも後の祭りでした。