各地の小さなオフライン会場とオンライン会場をZoomで繋いで行う、猫町倶楽部のハイブリッド読書会。今回の課題本は、アンナ・カヴァン『氷』

氷に覆われていく世界。終末へと向かう風景。
そのなかで少女を追い求める男。
冷酷でありながら、どこまでも透明で美しい世界。

今回も、日本各地の多彩な会場で読書会が開催されました。
・霧島市(妙見温泉)
・東京都足立区(らんたん寮)
・犬山市(犬山焼本窯元尾関作十郎陶房の蔵)
・神戸市三宮
・名古屋市栄(ナディアパーク)
・東京都阿佐ヶ谷

<霧島市(妙見温泉)会場>
妙見温泉では、南国のやわらかな光のなかで語られる終末。温泉の看板が味わい深いですね。氷とは真逆の温泉。それは、物語の印象をどう変えたのでしょう。
IMG_4249.jpeg 599.31 KB
<東京都足立区(らんたん寮)会場>
らんたん寮は、子ども食堂やワークショップなども行われている地域の若者支援施設。温かな場の空気のなかで読書会は大いに盛り上がり、『氷』から『源氏物語』へと話題が広がりました。懇親会ではご主人の手料理を囲み、気づけば15時開始から21時半まで語り続ける、熱のこもった一日となったようです。IMG_4277.jpeg 128.08 KB
<犬山市(犬山焼本窯元尾関作十郎陶房の蔵)会場>
犬山城の近くの蔵を会場に開催しました。会場ではお雛様とわん丸君がお出迎え。土と日の暖かい会場。氷の終末はどのように語られたのでしょう。
IMG_4243.jpeg 355.49 KB
<神戸市三宮会場>
神戸の会場では、街の光の気配を感じながら『氷』を読みました。外では人が行き交い、世界は動き続けている。それでも物語のなかでは、静かに、確実にすべてが凍りついていく。懇親会は中華料理店へ。冷たい物語を語り合ったあと、温かな料理を囲む時間。その温度差もまた、『氷』という作品をより深く味わわせてくれました。
IMG_4242.jpeg 328.22 KB
<名古屋栄(ナディアパーク)会場>
会場の名前は、「Nagoya」「Design」「Youth」「Amusement」「Park」の頭文字を組み合わせた名称とのことで、その遊び心ある由来はどこか猫町らしい響きですね。この会場では、「氷」という言葉から睡眠薬による人工的な眠りの状態を連想するという読みや、「物語を筋道立てて組み立てようとするとどこかで破綻する」という指摘も。さらに、「私」と長官は同一人物であり、長官は“私”が上位互換された存在ではないかという興味深い解釈も示されました。
IMG_4263.jpeg 404.86 KB
<東京・阿佐ヶ谷会場>
読書会テーマの「氷」に合わせ、かき氷を味わいながらの開催となりました。2月にしては暖かな日だったこともあり、ちょうどよい趣向だったようです。『氷』は、現実と幻想がシームレスに移り変わる描写が印象的な小説。終末SFとしての側面に注目する読みや、もし映像化するとしたら主人公や少女、長官はどのような容姿であるべきか、といった想像も広がりました。
IMG_4274.jpeg 126.4 KB
<オンライン会場>
オンライン会場では、核戦争による世界の終末として読む視点や、個人の人生の終わりとして捉える読みなど、多様な解釈が交わされたようです。物語の終盤でピストルを手にして「安心する」場面についても、その意味をめぐってさまざまな意見が出されました。
Screenshot 2026-02-28 084825 (1).png 1.72 MB
同じ物語を読みながら、土地の空気が物語の印象を微妙に変えていったのでしょうか。そうであるなら、ハイブリッド読書会ならではの面白さでしょう。

語り手の執着は愛だったのか、それとも暴力だったのか。少女は無力な存在だったのか、それとも物語を動かす中心だったのか。そして、この物語に救いはあったのか。
読みは交差し、ひとつの答えに収束することはありませんでした。明確な希望は描かれていない。それでも読み終えたあとに残る余韻。
『氷』とはなんだったのでしょう。

次回のハイブリッド読書会は、3月28日(土)開催。課題本は、芥川賞ダブル受賞作品
『時の家』(鳥山まこと)と『叫び』(畠山丑雄)です。

現代文学の最前線を、各地を繋いで読み解きます。
はじめての方も大歓迎です。

また次の物語でお会いしましょう。

<次回ハイブリット読書会>
オンライン会場
https://nekomachi-club.com/events/a3087239583c
ハイブリット会場(オフライン)
https://nekomachi-club.com/events/f6848356c53b