猫町オンラインオペラ『こうもり』に参加してきました。
課題映像はこちらのクライバー指揮の演奏。


12/20に引き続き2回目の開催で、今回はゲストとして音楽ライターの小室敬幸さんをお招きしレクチャー付きという豪華版でした。
ウィーンの歌劇場では大晦日恒例の演目であるので、年末に開催する作品としてこれ以上うってつけの作品はありませんね!
楽しい作品だし、レクチャーもあるしということで初めてオンラインオペラ会へ参加される方も多かったです。

まずは1時間半程度の感想会。
小室さんには感想会中に各テーブルを回っていただき、質問に答えて頂きました。
感想会で出たコメントの一部を紹介します。

・ダンスもあってワクワク。主役の歌手もけっこう踊っていて大変そう。
・登場人物がずっと酔っぱらっているような作品だと思った。
・観ていてお酒を飲みたくなる作品。
・12月に新国立劇場で『こうもり』の生舞台を観たがアドリブが多かった。生舞台を観た上でも課題映像のクライバーの演奏はすごいと思った。youtube越しなのに。
・喜劇は初演当時の諷刺が現代の我々には分からないので難しいことが多いが、『こうもり』はそれを知らなくても楽しめた。ネタが入ることも多いがこの課題映像の演出は素直。
・ファルケの「兄弟姉妹になりましょう」のアリアはベートーヴェンの第九の精神に通じる。理想の世界。クライバーの演奏はここをすごく美しく演奏しているのが特徴。
・第1幕の三重唱が表向きは悲しんでいるのに足がウキウキで楽しい。オペレッタならではの曲。クライバーはすごく真剣に演奏していて雰囲気の変わり目にキレがある。
・アデーレがしたたかなキャラでありながら嫌味が無い。もしいなかったらただの男女の不倫劇になって作品の雰囲気が変わりそう。
・たいていの男はアデーレが好きだと思う。華やかなアリアもあるし。
・第3幕冒頭でアレフレートが牢獄中から歌うシーンが面白い。他の作品の歌も歌うし。アドリブで色々な曲を歌うそう。
・フランスはシャンパンやわざわざフランス人に扮したりで讃えている印象の一方、イタリアはテノール歌手が振り回されていて茶化されている印象。
・ポルカでみんなが踊りまくる場面が圧巻だった。指揮者のクライバーも笑顔で楽しそうだったのが印象的。他の曲目を入れることもあるが、クライバーは「雷鳴と稲妻」が得意曲。
・第2幕は本筋とは関係ない出し物を入れやすい。ゲスト歌手がきてガーシュウィンの歌を歌った演出もある。
・オペレッタの登場人物はあった出来事をすぐに忘れちゃう傾向があると思う。一方でオペラは執念深く覚えている。
・オルロフスキーの歌い方が変に上がったりして聴きづらかった。たぶんわざとそう歌っている。
・オルロフスキーからは孤独を感じる。薬物中毒になっている設定の演出もある。
・ブリントのどもり(吃音)っぷりを笑うのは80年代ならできたとしても現代だとできないと思う。
・本作を元にしたバレエ版の『こうもり』もある。登場人物はオペラより少なくてストーリーも異なり、オペレッタ版でのアイゼンシュタインとロザリンデが中心の話。
・くどいた相手が実は妻だったというのはまとまりが良い。結局好みの女性は変わらないんだね。
・オペラ歌手とオペレッタ歌手ではオペレッタの方が軽くて演技もするイメージ。ただし、課題映像はクライバーのこだわりで全員オペラの歌手。←すごく踊るし、演技もノリノリだし、挙句の果てに逆立ちもするしで完全にオペレッタの歌手だと思っていた。


感想会の後は小室さんから約1時間半のレクチャーをしていただきました。
「オペラの歴史」「作曲家と作品(こうもり)について」という内容でしたが、内容が盛りだくさんで濃いこと濃いこと!
知らないことが多かったし、登場人物やシーンの分析ではナルホド!と目から鱗が落ちることだらけでした。

一部を紹介します。
・オペラは演劇と音楽のどちらに重点を置いている作品かを知った上で観ると面白い。
・オペレッタはフランス発祥。
・ワルツは19世紀になってからのジャンル。階級を超えて流行。
・19世紀のワルツは同時代音楽だが、20世紀に作曲されたワルツは古き良き時代を想起させる役割。
・本作より前に作曲されたオペラ『椿姫』にもアルフレートという登場人物がいる。似たシチュエーションあり。
・オルロフスキーのキャラクターとシャンパンの組み合わせ
・モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』を想起させる部分がある。

ただ観ているだけでも楽しい作品なのに、知れば知るほどさらに深く楽しめるというのは改めて名作だなと思いました。
時間が残らず掘り下げられなかったですが、小室さんが参加者に意見を聞いてみたかったという「この作品の主人公って誰だと思う?」という問いかけ。
一般的には主人公ポジションのアイゼンシュタイン? 黒幕のファルケ? 夢へ進んでいくアデーレ? 夫をたしなめて最後には許すロザリンデ? それともオルロフスキー? などなど。
個人的にはアデーレなんですが、作品をどの角度から見るかで答えが変わるので面白い問いかけだと思いました。

会の後は小室さんと主宰のタツヤさんに加え、開催2日前に急遽参加して頂くことになったクラシック評論家の鈴木淳史さんも交えての対談となりました。

タツヤさんも鈴木さんも今回のクライバーの『こうもり』に想いがあるようで、クライバーについての話が盛り上がったり、2020年のコンサートについて思うことを話したり。

その中で、小室さんの「今は答えを求める人が多いが『分かった』でおしまいは芸術から一番遠い」「分からないことを自覚することが次につながると思う」という言葉が特に印象的でした。


さて、猫町オンラインオペラの次回作品はロッシーニの「セヴィリャの理髪師」です。1/13(水)の開催となっていますのでご参加をお待ちしています。



また、小室さんは1月からは「指揮者本で学ぶクラシック」シリーズにご登場いただきます。
1~6月まで毎月1冊+小室さん選曲のプレイリストを聴いて参加。読書会の後はもちろん小室さんの分かりやすいレクチャー付きということですごく期待の企画です。興味ある方はぜひご参加を! 第1回は1/16(土)です。
(私は思わず全6回セットを申し込んでしまいました)