2026/07/07に猫町シネマ第1回を開催しました。たくさんのご参加ありがとうございました。
https://nekomachi-club.com/events/dff18d763e74

記念すべき最初の回は、参加者がそれぞれの経験や考えを持ち寄る時間になりました。

映画に描かれた介護や医療、人との関わりについて語る中で、仕事の経験、家族の介護経験、これまでの人生で感じてきたことなどが重なり、生き方について考える対話へと広がっていきました。

介護や医療の現場を知る参加者からは、映画と同様に、認知症の人が歩くことをめぐって尊厳と安全をどう両立するのか、家族から見た姿と本人が感じていることのギャップ、現場で生まれる葛藤について語られました。

また、「患者ではなく友人として最期を迎えたい」という言葉や、制度や安全性だけでは語れない、人と人との関係について考えさせられる意見もありました。

印象的だったのは、「境界を無くす」というテーマが自然と何度も現れたことです。

ケアする人とされる人。 
患者と友人。 
病気の人と健康な人。
指導する人とされる人。

作品の中に描かれた境界だけでなく、私たち自身も日常の中でさまざまな境界を作っているのではないか。そんな視点も語られました。

また、「どこで死にたいか」「誰と死にたいか」という問いや、「この素晴らしい世界にずっといたい」という台詞に心を動かされたという感想もありました。同じ作品を観ていても、制度の話になる人もいれば、生き方や死生観へと思いを巡らせる人もいます。

もちろん、作品への評価もさまざまでした。濱口竜介監督の独特のメソッドは好き嫌いが分かれる傾向もあります。「現実の介護とは少し違うように感じた」「きれいにまとまりすぎている」「情報量が多かった」といった率直な意見もありました。

また、原作を読んでいた参加者からは、本と映画では描かれ方や印象が全く異なるという話も出ました。同じ物語でも、表現方法が変わることで受け取るものが変わることについて語り合いました。

同じ映画を観ても、語られることは一つではありません。

誰かの感想を聞くことで、「そんな見方があったのか」と思ったり、自分では言葉にできなかった感覚を誰かが代わりに表現してくれたりする。その積み重ねによって、一人で観た映画が少しずつ豊かになっていく。

今回は、そんな猫町シネマの始まりにふさわしい時間になりました。これからも映画をきっかけに、一人ではたどり着けなかった視点や問いに出会える場を、参加者のみなさんと一緒につくっていけたらと思います。

来月の猫町シネマは8月4日(火)『さらば、わが愛/覇王別姫』の予定です。
https://nekomachi-club.com/events/e4da71746eaf