イケダさん、初めまして。
貴方が撮影された映画「愛について語るとき、イケダの語ること」を鑑賞させていただきました。
イケダさんはもう映画はご覧になられましたか?
天国にいらっしゃる貴方はもしかすると、俺の撮った映画そんなタイトルになったんだと思われたかもしれませんね。
貴方の御親友で脚本を担当された真野勝成さんから、最初は全く違うタイトルだったと伺いました。
初めは「愛」という言葉を入れるつもりはなく、頭に浮かんですらいなかったと。
「障害者と性と暮らし」のようなタイトルを考えていたそうです。
そんなタイトルをガラッと変えたのは編集を担当された佐々木誠さんだったそうです。
イケダさんの膨大なハメ撮り映像と真野さんとの日常会話や悟己さんとのデートシーン、全てをつなぎ合わせて58分の作品にされた佐々木さん。
真野さんは編集された動画を観てこのタイトルを思いついたそうです。
「愛について語るときにイケダの語ること」、すごくワクワクするタイトルですよね。

申し遅れました、僕は埼玉県に住むそろそろ30を迎えようとしているどこにでもいるような普通の男です。
猫町倶楽部という本や映画について語り合う読書会のコミュニティーに参加しています。
今回イケダさんの作品「愛について語るときにイケダの語ること」を語り合う映画会、通称シネマテーブルが2021年9月20日月曜日に開催されました。
こんなご時世ですのでオンライン開催です。
そういえばイケダさんが映画を撮影されてた頃って今の時代とは違って対面のイベントばかりでしたよね。
ぶらぶらと街中を歩いていたイケダさんが印象的でした。
今のオンライン時代をイケダさんはどう感じられているんでしょうか。
さて今回のイベントの話に戻ります。
イベントには御親友の真野さん、そして編集をされた佐々木さん、そして今回のイベントの発案者である鈴木沓子さん、AV監督で作家の二村ヒトシさんをゲストととして開催され、46名の方がイケダさんの映画について語り合いました。
前半は6名から7名ほどの人数に分かれて各チームごとに映画について話し合い、後半はゲストの方々のトークショー、最後に懇親会でまた何チームかに分かれてお話しするという流れでした。

僕が参加したテーブルですが、実はイケダさんと同じ職場だったという方が参加されていました。
イケダさんとのエピソードをたくさん話してくださって映画のイケダさんを知らない僕らからするととても興味深い話が多かったです。
一緒に仕事をして怒られたこと、仕事終わりにご飯に行ったこと、キャバクラに一緒に行ったこと、そして亡くなる前に言われたこと。
イケダさんとの思い出を語っていた時のその方の表情はどれも印象的で美しかった。
そして全ての感情があったんです。
喜び、怒り、悲しみ、嬉しさ、切なさ、驚き、恐れ。
1人の人に全ての感情をぶつけることができるって本当に凄いことだと思います。
ダークな部分が見えるかもしれないと映画の中でイケダさんは言われていましたが、イケダさんは無意識に普段からその部分を見せていたのかもしれませんね。
そうでないと1人の人間に対して全ての感情を持つことはできないと思うから。
またこうも言われていました。
イケダさんはもうこの世にはいないけれど映画館に行けばまた会える、と。
私たちの知っているイケダさんがスクリーンの中で輝き続けている、それって凄いことなんです。
そう語られていた時の表情は忘れられません。
イケダさんのことを本当に尊敬していて大好きな気持ちが伝わってきました。

後半のトークショーでは色んなお話を聞くことができました。
真野さんがイケダさんとのホモソーシャル的な会話をしている部分が女性にどう受け取られるのか不安だった、ハメ撮りから話が進んでお金が発生するセックスって良いものではないのかなど。
真野さんと佐々木さんから撮影の裏話だけでなく、女性的な視点から鈴木さん、セックス関連のお話は二村さんと映画の中のお話だけではなくその枠を超えたスケールの大きなトークショーでした。
またデートの相手役として出演された毛利悟己さんのお話も。
撮影をしているときにイケダさんがフィクションとして答えていないと悩んだそうです。
役者さんならではの視点だなと思ったのですが、このエピソードがすごく印象に残っています。
劇中で「愛してるって分からないんだよな」と言われていましたが、ずっと頭の中にこのことを考えながら撮影されていたんだろうなと思います。
フィクションの世界でも自分がどこかにいたからこそ、現実のイケダさんがそこにはいた。
役者的な視点で見ると芝居できていないとかそういう話になるんだろうけれどもそういう話ではないと思っています。
同じ職場だった方が言われていたんです、映画を観る前は自分の知らないイケダさんがスクリーンにいたらどうしようと思っていた、でもスクリーンには自分の知ってるイケダさんしかいなかったと。
フィクションだろうが現実だろうがイケダさんがそこいるという存在が大切なんです。

最後に、イケダさん、僕はいまだに愛について分からないことばかりです。
定義も分からないし、自分の中にそれが存在していることすら分かりません。
ただ映画を観て愛とは何か思ったことがあります。
自分を表現するということをやめない、諦めない、この気持ちはもしかすると愛に繋がるものではないのかと。
イケダさんが記録として残された映像はたくさんの人たちの心を動かしました。
愛についてもう一度考えた方も多くいたでしょう。
貴方が自分を表現することで沢山の人が愛についてゼロから考える機会を得ました。
イケダさんが愛を渡してくれたと思っています。
またお会いできる日が来るまで。

追伸
天国でもハメ撮りはされているんでしょうか?
イベントのお写真送りますね。

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