猫町倶楽部と新宿の歌舞伎町でホストクラブを運営している Smappa!Group のコラボレーションによる、文化系ホストクラブ読書会が6月22日(日)に開催されました。

文化系ホストクラブ読書会、もう14回目となりましたよ♪
そして回を重ねるごとに新たな試みやパワーアップが図られています。

今回は、書評家の渡辺 祐真(スケザネ)さんをゲストにお迎えしました。
課題作の『あとがきはまだ    俵万智選歌集』は、スケザネさんが編者をされた俵万智さんの選歌集です。

会場は歌舞伎町にあるホストクラブ「APiTS 」
これまで毎回、会場としてお世話になっていまして、お馴染みの場所になってきています。

今回の課題作『あとがきはまだ    俵万智選歌集』は、スケザネさんが選んだ歌に、俵さんご自身がこれは入っていて欲しいと選んだ歌を加えて構成されたそう。
さらにスケザネさんによる解説がついています。

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スケザネさんが書評家として今の活躍にいたるきっかけのひとつは、Smappa!Groupを率いる手塚マキ会長との縁だったそうです。
手塚マキさんが、まだ大きく名をなす前のスケザネさんを知って、おもしろそうな予感から自宅にお招きしたり、そこから俵さんが〜という逸話を披露いただきました♪

そして猫町倶楽部の運営担当メンバーから♫

渡るなら文学マスター呼ぶしかねぇ! 言の葉の舟 漕ぐ夜だもの」(Asami)
言の葉の海を渡れるナビゲーター  今宵もひとり我らを助く」(Asami)

(二首とも「渡」が入っているのは、スケザネさんが渡辺さんだからですね)

カラフルな疑問を熱くほぐしつつ 緑を透かしてサラダを装う」 (かとう)


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猫町倶楽部×Smappa!Groupのコラボによる、この文化系ホストクラブ読書会の特徴のひとつとして、猫町倶楽部側から申し込んだ参加者のほかに、Smappa! Groupのホストさんが多く参加してくださっていることがあります。

今回はとくに、俵万智さんがホスト歌会の講師をされていることから、歌よみのホストさんたちがこぞって参加されました。

少人数に分かれて話す卓では、ホスト歌会の常連ホストさんから「身近に接してもらいすぎているし、教科書に載っているような人なのに、なかなか質問しにくい生々しい歌が多くてびっくりした」なんていう感想があったり。

俵万智さんの短歌って、こんなに人間あけすけでなまなまなの♪    という魅力に引きずり込まれたとか、年齢や経験とともにこんなに変わってきているんだと体感できて、しかもずっと新鮮さやなじみやすさがありつつ、ぎょっとするような心の深淵、恋愛の苦み、お子さんとの日々のかけがえのなさなど、どれもはっとさせられたり豊かだったりなどなど。

さらに、スケザネさんの解説を読むと、ひとつ一つの言葉から丁寧に世界を広げて、まるで違う景色を見せてくれる体験となって、お話を聞くのが楽しみ♪

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それから、猫町倶楽部では読書会の前に、この課題書を音読するイベントを開催していました。
声に出して読んでみたい・それを聞いてみたいという参加者が集まって、いろんな人の声で読まれて広がる世界を楽しみます。

この機会だけで完読できるのと、ほかの人の声で読まれることで、自分ひとりで黙読しているのとは違う声と読み方、感覚で入ってくるのが最大の楽しみだと感じています。

今回の課題書の音読にはイタリア在住のメンバーが参加していて「なんでベリーニなの」と激しく反応してきました。

地元のお酒が登場しておぉっとなったよう。
友だちに着地を決めた人と会う食前酒にはベリーニがいい」 (俵万智:チョコレート革命)

きょうは目の前に、酒と恋愛とおもてなしを極めるホストさんたちがいるのです。
このベリーニについて、いろんな解釈や感想が飛び交いました♪

ホストさんがベリーニについて質問して、三谷幸喜脚本のドラマ『王様のレストラン』に連関した話で盛り上がった卓もあったようです。広く知られたカクテル名になったからではで、名前の雰囲気が優先で、酒としてはなんでも良かったのではという説まで。

桃いろの大人ごころのベリーニに ホストが悩む夏の夕暮れ」 (かとう)
ベリーニを語る背中の棚にトラディション(未完:誰か完成させて)」 (かとう)


こうして卓にわかれた読書会が終わり、スケザネさんとの質疑応答タイムです。
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ひとつだけ紹介しましょう。
ホストさんからの質問です。
何度でも見るドラマありあの人が元気でいるか確かめたくて」 (俵万智:アボガドの種)

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この歌を生々しく読まれて、俵さんの身のまわりのお話や影響に関する質問でした。

スケザネさんは開口一番「歌がとても喜んでいると思います」。

この歌は元々掲載された歌集の中で読むと、連作の中の一つで、俵さんが韓国のドラマ(愛の不時着)にはまって繰り返し観てしまうことから生まれたという状況がわかるらしい。
でも、その状況説明なしに俵さんの人生を辿っている『あとがきはまだ』で単独でぱっと出てくると、まっさらに読んで違う意味にとらえられることがわかりました。それが喜ばしいと。

こんなスケザネさんの話がひとつ一つ熱々でホットすぎる♡

短歌ってすごいな。
これをやっているホストさんたちに敬意。

連作の鎖を解かれたあの人はあらたな濃ゆい苦みをまとう」 (かとう)

最後に。
猫町倶楽部の読書会が大事にしていることの一つに、ドレスコードがあります。
身につけるものなどに自由な発想で取り入れる楽しみです。

今回のドレスコードは「サラダ」
それぞれの卓でベストドレッサーを選びます。
みんなのサラダいかがでしょう。

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ベストドレッサーには、ドレスコード普及委員長からご自作の賞品を贈呈♪
感謝感謝です。
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<今後の関連イベント>
・7/12    俵万智さん参加『生きる言葉 』
    https://nekomachi-club.com/events/6f1d2a3cdcae
・7/26~9/30    新宿歌舞伎町春画展
    https://www.smappa.net/shunga
(8/2に猫町倶楽部で関連イベントを予定)
・8/16    文化系ホストクラブ読書会    ゲスト:漫画家の東村アキコさん
    ドレスコードは「浴衣」
    この日の歌舞伎町盆踊りにかけてなので、みんなで繰り出しましょう♪