柴田元幸さんをお招きしての読書会と翻訳教室!5年ぶりの開催でした。
おひさしぶりの顔もはじめましての顔もいっぱい、の41名のご参加、ありがとうございました。
東京大学を退官されてからも雑誌『Monky』の日本語版・英語版の編集、新作の翻訳、に全国の朗読会、オンラインでの朗読会、と精力的に活動されている柴田さん、4月にはアメリカで亡くなる3週間前のポール・オースターにもお会いになれたそうです。
(参加者が折ってきてくださった鳩の折り紙と、新しい名古屋オフラインの名札!)
この日の課題本は『アントンが飛ばした鳩』ホロコーストをめぐる30の物語
(バーナード・ゴッドフリード著)広岡杏子さんとの共訳で、読書会では「どれがどちらの訳?」という質問が出ていました。
そんな質問が出るくらいお二人の訳に違いを感じないのは作家ではない著者の素直な文体で、またお二人の間でもスムーズに共訳が進められたようです。
各テーブルで感想や質問に丁寧にお答えいただきました。
映画『関心領域』と同じく、具体的な残酷なシーンが少ないのにひしひしと伝わってくるものがありました。
タイトル『アントン…』についてのお話や、
参加者からは「人は環境でどこまででも残酷になれる」
「しかしそんな残酷な人も家に帰れば普通に家族に優しい人だったりして、悪というのとも違う気がする」などの感想が出ていました。
「これは僕が訳したかった!」という作品のことなどなど、
お話も質問も尽きることがなく、どのテーブルでも回ってくださるのを心待ちにしていました。
読書会のあと課題本にちなんだ靑猫マスターの一曲は、ユダヤ人の父をもつゲンズブール(…誰かに似てる?)
この日のドレスコードは「クラシック」。クラシックな装いやネイルで各テーブルで選ばれたベストドレッサーのみなさん、おめでとうございます。
さて、いよいよお待ちかねの翻訳教室。
先に出されたお題を18名の方が事前に提出されました。
学校でテストを返されるように、柴田さんからひとりずつ添削や講評を書かれた回答用紙を手渡されます。
あれ?この方も…(実は柴田さんの大ファンです)
その中からいくつかピックアップしての解説です。短い英文ですが、夢の話で非日常的な情景をどう訳すか…みなさん悩まれたようですね。
「through」「along」などの使い分けに始まり、より自然な日本語への訳し方を丁寧に解説していただきました。
会場からは「ワニ」と「アリゲーター」の違いなど、質問も次々と。
翻訳の優秀者2名には、会場での挙手による賞と柴田賞が選ばれました。
お二人には挿絵も素敵な『オーギーレンのクリスマスストーリー』がプレゼントされました。
最後に柴田さんの一曲!これも毎回お願いしている素敵な時間。 今まではお好きなBeatlesが多かったのですが、この日は日本語で『上を向いて歩こう』を。
やさしく美しい歌声がしみわたります。
懇親会は引き続き靑猫で。
乾杯!
柴田さんを囲むテーブルは大人気で入れ替え制に。
ポール・オースターのお話や最近の朗読会のお話など、お帰りの時間ぎりぎりまでずっとお話してくださいました。
翻訳者とこんなに身近にたっぷりお話しできる貴重な時間、
「また、来年は桜の季節に」
「そうでしたね、いつもこの通りは桜がきれいで…」
そんな会話でお見送りしました。
長い間「訳者は著者より前にでるべきではない」とのお考えから柴田さんの顔が映らないように配慮してきましたが、今回お聞きすると、
「もう、コロナで会える人には会える時にあっておかなきゃ、って思ったらどうでもよくなりました」とのこと。安心して撮影させていただきました。
**** 関連読書会のお知らせ ****
◆6月27日(木)ポール・オースター追悼読書会(設営:月曜会)
『ガラスの街』の読書会をオンラインで開催
◆7月7日(日) オフライン名古屋 会場:靑猫
課題本選択制(どちらか1冊を選んでご参加ください)
『溺れるものと救われるもの』(プリーモ・レーヴィ)
※アウシュヴィッツとは何だったのかを改めて問い直す一冊。
『幼年期の終わり』(アーサー・C・クラーク)
ドレスコード:七夕
ご参加、お待ちしています。
名古屋オフラインサポーター:ひろし、ひろ、とみぃ、ハットリ、サトウ、okko
2024/06/17 16:50