猫町. 関西オフライン読書会の記念すべき第1回の様子をレポートとしてお届けします。
初回となる今回は、東京オフライン読書会との合同企画。「同じ本を、同じ時間に読む。そして東西でそれぞれ語り合う。」をコンセプトに、同日同時刻にスタートを切りました。オンラインで東西の会場を繋ぎ、離れていても同じ作品に向き合う仲間たちの存在を感じながらの読書会となりました。
https://nekomachi-club.com/events/7f2d20dbd88a
https://nekomachi-club.com/events/b56e06e90ca0
梅雨の気配が色濃くなる週末、大阪・北浜にあるお洒落なカフェ&バー「ビストロ酒場YUZU |cafe&bar北浜本店」にメンバーが集まりました。
今回のドレスコードは「雨」、当日の空模様もドレスコードに合わせたかのような深い雨。参加者それぞれが、雨をイメージしたお気に入りの装いや小物を身にまとい、会場はしっとりとした雰囲気に。それと同時に、記念すべき第1回ということもあり、どこかワクワクするような一体感にも包まれていました。
顔馴染みの方、お久しぶりの方、関東からの遠征組、そして新しく2名の方をお迎えし、総勢19名での開催となりました。本好きの人々が集まり、文学と哲学という異なる角度から私たちの「日常」や「生き方」を見つめ直す、濃密な対話が交わされました。
今回の課題本は、以下の2冊。
『信仰』村田沙耶香
『天皇への敗北』國分功一郎
『信仰』村田沙耶香
現代社会のシステム(常識・効率・数値)を信じ過ぎてしまい、自身を追い詰めたり他者を排除したりするような信じ方は、カルトや過激な宗教と何ら変わりがないのではないか。ノイズや無駄を省いた先にあるのは何なのか……。
村田ワールドの秀逸すぎる設定とネーミングセンスで、現実と非現実の境界線を揺るがすような独特な世界観に、参加者一同、圧倒されながらも大盛り上がりの時間となりました。
作中に登場する「カルト的なものにハマる人」と「高級食器にハマる人」の本質的な違いとは何か? 世間の流行や「多様性」という言葉の裏にある「いかがわしさ」を、作者は冷笑混じりに描いているのではないか、という鋭い指摘がありました。そして、「自分も周りがやっていたら流されてしまうかもしれない」というリアルな恐怖も語られました。
また、作中に出てくる架空の高級食器「ロンババロンティック」や、ヨドバシカメラで自分のクローンを4体も買うという奇想天外な設定には「斬新すぎる!」と参加者大絶賛。あまりのリアリティに「実際にネットで検索してしまった」という参加者も。
もし、生存率のランク「D」と判定されたらどうするか?という問いに対しては、「そこから這い上がる道選ぶ」という参加者全員一致の回答。その他にも『無害ないきもの』で瑠璃ちゃんを残したのは「希望」なのか「悪意」なのか。『書かなかった小説』は『世界99』のネタだったのではないか(でも実際には「書かなかった」)など等、様々な意見や感想が交わされました。
小説とエッセイが混在する本作。ディストピアを描いた作品が多いが、どれも突拍子もないうものというより、現在と地繋ぎになっている感じがあり、通読することで現実と非現実を行き来するような不思議な読後感が残ります。
私たちは正しい物語の信者になって、何か大切なものを見失っているのではないか?人間とは何か?という本質的な問いかけが胸に突き刺ささったのではないでしょうか。
『天皇への敗北』國分功一郎
第二次安倍政権下の安保法制をめぐる立憲主義の危機において、本来なら国民が守るべきだった立憲主義を、結果的に天皇の護憲的スタンスに依存することでしか守れなかったという事象について、なぜ日本国民は自立した立憲主義を成熟させられなかったのかを追究します。日本の社会構造や私たちの国民性に深く踏み込む、充実した対話の時間となりました。
「民主主義と立憲主義、どちらが大事か?」という問いに対しては、「民主主義には限界がある。どちらか一方だけを大事とは言えない」という意見や、多様な価値観の中で共通の価値を作ることの難しさが語られ、現代社会の課題が浮き彫りになりました。
また、「なぜ日本人は政治を語らないのか?」という問いから「空気を読む」「強い意見に流される」という日本社会の同調傾向についての議論が白熱。「村社会の歴史が背景にあるのでは?」といった意見も飛び交いました。参加者の多くからも「過去の憲法改正の議論の際、深く考えずに投票していた」という率直な振り返りがあり、身近な問題として憲法や民主主義を捉え直すきっかけとなりました。
さらに、トップの責任追及がなされなければ国民一人ひとりが過ちを認められないということへの理解を示しつつ、「天皇の戦争責任を追及するだけで満足してしまっては、敗北したままだ。その後、私たち一人ひとりがどのように過ちと向かい合うかを考えなければならない」という深い議論が交わされました。
少なくともこの読書会で、参加者が主体的に考え、言葉を交わし、議論したこと自体が、私たちが「敗北」から抜け出す確かな一歩になったのではないでしょうか。
一見難しそうに思える哲学書や、不気味さを孕んだディストピア小説も、みんなで言葉を交わすことで新しい扉が次々と開いていきます。
猫町.の読書会では「人の意見を否定しない」という参加ルールを大切にしています。安心してどんな意見も感想も自由に感じたまま思ったことを話せる読書会です。
「本が好きな仲間とつながりたい」「最近、深く考える読書をしていないな」「他人の視点を通して、本の新しい魅力を発見したい」そんな風に感じている方は、ぜひ一度、私たちの読書会に遊びに来てみませんか?
新しい本との出会い、人との出会い、そして新しい自分との出会いが待っています。
初参加の方もすぐに馴染める温かい雰囲気です、ぜひお気軽に参加してみてください!
参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
次回の開催は、
2026年7月11日(土)15:45~
毎年恒例の人気イベント「浴衣読書会」です。
https://nekomachi-club.com/events/16b5b100b959
課題本:『茶の本』岡倉天心
会場:梅小路公園 緑の館
ドレスコード:浴衣
沢山の参加をお待ちしております。

2026/06/24 06:00
【開催レポート】関西オフライン読書会(2026年6月20日)

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猫町.は、月に一度、同じ本を読んだ人どうしが世代を越えて集い、違いを違いのまま持ち寄って対話する読書会コミュニティーです。本を入口に人と出会い、世界を少しずつ広げていく場を目指します。読書習慣を育てたい人にも開かれています。
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