「恋愛できるようになるには」は最後のほうに書いてあります…。


さて、かれこれ10年近く前から、僕の書いた本を取り上げてもらってゲストで呼んでいただいたり


フィロソフィア(哲学書を読む分科会)やUG(アンダーグラウンドな、いかがわしい本を読む分科会)やシネマテーブル(映画を観て語りあう分科会)に普通に参加したり、寸劇を
やらせてもらったりしておりましたが(リンク先で、猫町倶楽部の代表タツヤさんの学生服とUG隊長チアキちゃんのセーラー服が見れます。もちろんどっちもAVの衣装な。そして國分功一郎、安定のイケメンな…)

オンラインになってタツヤさんから「課題作品を好きなように選んでいいので、毎月、恋愛について考える分科会をやってもらえないか」と言われ、2020年の11月から猫町倶楽部「二村組」が始まりました。


第一回の課題本は拙著で。 https://www.amazon.co.jp/dp/478167108X
この頃はまだイベントページがラウンジメンバー申し込み用と一般参加者申し込み用に分かれていて、
https://nekomachi-club.com/events/12d004038a57
https://nekomachi-club.com/events/e51393f3e612
それぞれ参加者が48人、43人、合計すると91人。全部で15テーブルくらいになったような記憶がある。以前からいっしょに哲学対話をやってたたくみんやシオコさんやカンちゃん、もともと猫町で知りあった人だけど僕のやりたいことを理解してくださってたかわべえや美鈴さんや335さん、はてはパクちゃんやタツヤさんまで動員して各テーブルのファシリをお願いしました。ありがとうございました。


12月はクリスマスフェスで、この年は2日間で16回の読書会が。二村組もそのうちの1回をということで、参加者の皆さんもハシゴするだろうからなるべく課題範囲を短く、予防医学研究者である石川善樹さんの『問い続ける力』 (ちくま新書)https://www.amazon.co.jp/dp/4480072209 から、石川さんと僕が「人間の恋愛とセックスと性教育について」といったテーマで対談した部分を。
イベントページには「参加者38人」とある。
https://nekomachi-club.com/events/5e43806d6172


2021年1月。課題本は、鈴木隆美『恋愛制度、束縛の2500年史    古代ギリシャ・ローマから現代日本まで』(光文社新書)https://www.amazon.co.jp/dp/4334043887
ヨーロッパにおける「恋愛という行為、概念」の変遷をひもとき、最終的に現代日本のそれと対比させる興味深い内容でした。恋愛の本質は束縛なの…?    著者は福岡大の准教授、ご専門はフランス文学でプルースト研究のかた。
参加者58人。


2月の課題作品は、映画『ブルーバレンタイン』主演ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズ、監督デレク・シアンフランセ。これは本当に魂が引き裂かれるような映画で、恋愛とか結婚の不条理や不可能性について考えておられる皆さんにはぜひとも観ていただきたかったのです。
参加者72人。


3月は、橋本治『ぼくらのSEX』(イースト・プレス) https://www.amazon.co.jp/dp/4781671993
去年の再文庫化にあたって解説を書かせていただいた本。現代の性教育は安全性を求める正しい性教育ばっかりだけど、この本で語られているような「相手や自分の欲望と向かいあう性教育」も絶対に必要だと考える次第であります。
参加者47人。


4月。なんとベン・アフレックがオタクで恋愛下手の人気マンガ家に扮する、まさに猫町に参加するような男子たちのための、そしてセックスが好きすぎたりセクシャル・マイノリティだったりする女性のための恋愛映画『チェイシング・エイミー』(監督ケヴィン・スミス)参加者33人。


5月はバンジャマン・コンスタン『アドルフ』(光文社古典新訳文庫)https://www.amazon.co.jp/dp/433475287X
駒井組でおなじみ、古典新訳文庫です。この100年以上前に書かれたダメ青年とメンヘラ女性の不幸な物語を「二村さんは絶対に読んだほうがいいよ」と言って教えてくれたのは漫画家の新井英樹さんでした。
参加者39人。


6月の課題本。リーヴ・ストロームクヴィスト『21世紀の恋愛    いちばん赤い薔薇が咲く』(花伝社)https://www.amazon.co.jp/dp/4763409549
スウェーデンの女性クリエイターによる、エッセイ・コミックというより哲学マンガ。彼女の前作『禁断の果実    女性の身体と性のタブー』もフェミニズム漫画として話題になったが、それも本書も「すでに定評のある現代思想をマンガで楽して読む」みたいな企画ものではなく、おもろい絵と平易な短文で表現されたガチの新しい哲学書と言っていい。
むずかしい書きかたで書かれた敷居が高いようなものでなければ哲学書ではないと決めつける考え(そんな考えの人はいないと思いますが。いや、いわゆる「哲学好き」の中にはそういう考えの人もいるのかな?)はよくないと思う。もちろん固い哲学書をがんばって読むことも必要だけど、そればかりだと哲学が死ぬ。「やさしい言葉で書かれた本やマンガ本を読んでいるのに、問いが生じ、脳が汗をかく」ということが哲学には(哲学じゃなくても)ある。
参加者59人。


7月は邦画。今泉力哉監督『愛がなんだ』。ラウンジ外から「この映画を30回以上くりかえし観ている」という若い女性(学生さんだったかな)が参加してくださってたのを覚えてます。猫町にもこれ好きな人、多そうだよね。それにしても問いの宝庫のような映画でした。参加者63人。


あと二村組ではありませんが、cat-townで7月11日に「詩/詩歌」を、https://nekomachi-club.com/events/a02b8b90a37a
8月2日に「少女マンガ」をそれぞれネタにして、https://nekomachi-club.com/events/3d482a00ba5f
『読書ってなんだろう?』という哲学対話を、
8月22日には『リードイン』を https://nekomachi-club.com/events/feb0e1822fea やりました。
(cat-townのイベントは猫町ラウンジの会員のみ参加可能)


8月の二村組はゲスト回。小説『これはただの夏』(新潮社)https://www.amazon.co.jp/dp/4103510129 が課題本で、著者の燃え殻さんが参加してくださいました。
参加者64人。あれ?    もっと多かったような気もするけど、そんなもんだったかな。
デビュー作『ボクたちはみんな大人になれなかった』は新潮文庫の夏の100冊にも入って20万部を超え、いまじゃ週刊新潮で五木寛之や北方謙三や壇蜜と並んでエッセイを連載する、そんなベストセラー作家と僕は二人でインターネット・ラジオをやっておりますのでよかったら聴いてください。 夜のまたたび|二村ヒトシ|燃え殻|AuDee(オーディー)


9月は「サン=テグジュペリ『星の王子さま』https://www.amazon.co.jp/dp/4001156768 を恋愛小説として読む」という切り口でやってみた。
「〇〇という本を××として読む」という読書会は、つまりは主催する側がある程度の「読みかた」というか「見立て」を強制してくるわけであるが、そういう読書会を猫町倶楽部で、もっといろいろな本でやってもいいんじゃないかと思った。
参加者74人。


10月の課題本は『NVC(ノン・バイオレント・コミュニケーション) 人と人との関係にいのちを吹き込む法    新版』著者はマーシャル・ローゼンバーグ博士。 https://www.amazon.co.jp/dp/4532321956
さっそく「いかにもアウトプット勉強会で読みそうなアメリカのバリバリの自己啓発書を、恋愛のためのテクニック本として読む」という見立てで、やりました。副読本は『LISTEN    知性豊かで創造力がある人になれる』 https://www.amazon.co.jp/dp/B099582LR7
イベントページでは挙げなかったけど、ブレイディみかこ『他者の靴を履く    アナーキック・エンパシーのすすめ 』https://www.amazon.co.jp/dp/B097BCJNXH も組長の中では、この回の副読本。
参加者55人。


10月10日は、cat-townで哲学対話『心に残るあのフレーズをシェアしてみんなでいろいろ考える会』つまりリードインも、またやりました。https://nekomachi-club.com/events/e495c63dd93d
またやろうね今年も。


11月は映画。『her 世界でひとつの彼女』監督スパイク・ジョーンズ、主演ホアキン・フェニックス、声の出演スカーレット・ヨハンソン。
参加者60人。
シネマテーブルでは、だいたい新作映画を取り上げていると聞きました。シネマテーブル・クラシックでは古典と呼ぶべき映画が選ばれてますよね。なので二村組で映画をやるときは「新作でも古典でもない映画」を選ぼうと思っています。『ドライブ・マイ・カー』も『偶然と想像』も『空白』も『死刑台のエレベーター』も『雨月物語』も『浮雲』も、まさに二村組で話したいようなテーマの映画、考えたいテーマの映画なんですが、シネマテーブルにお任せします。そのぶん二村組では『空白』の吉田恵輔監督の初期の大傑作『さんかく』がどっかのサブスクで配信されたら必ずやります。


12月は漫画。杉浦日向子『百日紅』上・下 (ちくま文庫)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480032088
参加者40人。
漫画の読書会は今年もやります。
ただ、板垣巴留『BEASTARS』全22巻も「必ずやります」とすでに予告したんだが、よく考えたら読書会やるには長すぎるんだよね…。いや人気の連載マンガとしては長くはないが、高い。全巻購入したら1万円以上。お好きなかたは読書会あってもなくてももう全巻そろえてるだろうけど、読んだことない人に「絶対に面白いから騙されたと思って読んで、読書会までに最後まで読了して」と言うには高い。コミックレンタルで全巻借りても漫喫に篭ってもそこそこお金はかかる。でも、もともと読んでた人と、読書会の課題本だからってんで初めて手に取って読んでくれる人とが対等に意見を交わすのが猫町倶楽部のいいところだし。
一昨年、猫町じゃないとこで『鬼滅の刃』1巻と2巻だけを読んでもらって考える哲学対話を(全部読んだ人も3巻以降に出てくるネタに関しては言及しないというルールで)やってみたら、それも、とても面白かったのです。そういうスタイルでやるしかないのかな。



さて、二村組では、読書会中に sli.do(スライドゥ)ってアプリを使って、各班で出た話題や個人が考えたことや浮かんだ問いを、書く余裕がある人には書き込んでもらって、それを参加者全員で共有しています。
たとえば『百日紅』の回だと、こういうかんじ。
https://app.sli.do/event/fsJXM34QLqxrWkWoN6Kgzk/live/questions
星の王子さま回。https://app.sli.do/event/9wgbkxlm/live/questions
(Chromeで開くと文字化けじゃないんだけど、我々が日本語で書き込んだのを一回英語に翻訳してまた日本語に訳し直すからなのか、おかしな日本語で表示されることが時々あります。Safariで開けばそんなことないようです。コンピュータって、ものすごい速さで変なことやっちゃうことがあるねぇサマンサ…。まぁそれは人間もそうか)

各班で出た話題を後でふりかえれるようにしているのは、組長である僕が「自分が参加しなかったテーブルでは、どんなことを話していたのかな?    同じ班になれなかった人は、どんなことを考えてたのかな?」が、すげぇ気になるからです。かつてオフライン時代の猫町倶楽部では別の班がすぐ隣のテーブルで、そこで話し合われている問いがふと耳に入ってしまい、それでまたこちらの思考が刺激されるということがよくありました。

それから二村組では読書会後の懇親会「話したりん」を前半と後半に分けて(もちろん退出いつでも自由の任意参加で)前半は残ってくれた参加者全員で、話したい人が自分の問いについて話し、多くの人が聴き専でそれを聴き、いろいろ頭の中で考える時間としています。聴いて考えていた人が自分も何か話したくなったら手を挙げてもらい、時間内なるべく多くの人にマイクを回して話してもらいます。そして、さらに話したりぬ人は残って後半は再ブレイクアウト(読書会での班を再シャッフル)しての、フリートークつまり通常の「話したりん」になります。

これは、二村組を「読書会では、話すことよりも聴くことのほうが大切である。猫町倶楽部は何かの結論を出す会ではないのだから、せっかくだから人の問いを聴いて考えよう。ただ自分の話したいことだけ話してスッキリして終わるのではなく、なるべくモヤモヤを受け取って持ち帰ろう」という理念でやっているからです。


ほかの分科会によく出られているかたから「二村組は、読書会なんですか、哲学対話なんですか?」と訊かれることがしばしばあるのですが、
二村組は猫町倶楽部の読書会の一分科会として運営されています。なので、やろうとしていることは読書会です(キリッ)。
タツヤさんから「猫町倶楽部ををより発展させていくために、いろいろ実験をしてみてください」と言われているので、あくまでも「より良い読書会」にするために、通常の猫町読書会のルールに、オンライン哲学対話のルールをいくつかプラスして進行してみているということです。


そんで、最初にも書きましたとおり二村組のタテマエは「恋愛についての読書会」ってことで、だから課題作品のジャンルは映画でも漫画でも小説でも人文書でも何でもアリなわけですが、同時に、
恋愛について考えるということは、課題作品にまつわることでさえあれば、恋バナをしてもいいしコミュニケーション術について考えてもいいし、「この登場人物たちアホだろ」って切り口から幸福や不幸について、社会や個人の暴力性や、ジェンダーについて語ってもいいわけです。「いわゆる恋愛」についてでなくてもいいです。あなたの考える「愛」ということについて考えて話して、人の話を聴いて考えてください。そして自分自身のことば(あるいは自分のことばだと信じこんでいた、借り物のことば)を疑って、自分の考えかたや課題作品に対する「読み」がどんどん変わっていくのを楽しんでみてください。
つまり二村組では、なるべく対話的な読書会になるような仕組みを企んでいます。

あなたが相手のことばを聴くことで相手も自分も変わってしまうのを楽しめる人(ただ「聞き上手」なだけではなく「対話上手」な人)が、僕は「恋愛ができる人」だと思うんですよ。


今年もよろしくお願いします。次回の二村組は1月23日(日)夜、課題作品は映画『ブロークバック・マウンテン』です。監督アン・リー、主演ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールとアン・ハサウェイとミシェル・ウィリアムズ。これまた大変な映画です。僕はもう5〜6回観てますけどラストシーンで必ず号泣します。