今回は、『空海読んだら人生変わった』(通称:くうかわ)繋がりで法華経に深く感銘を受けた宮沢賢治の作品を集めた『新編 銀河鉄道の夜』を課題本に迎え、関西オフライン読書会を開催しました。
子どもの頃に読んだことがある方も多い作品ですが、大人になってから改めて読み返してみると、当時は気づかなかった新たな発見や問いがたくさん浮かび上がってきます。
久しぶりに読み返してみたという方、アニメーション映画版が好きな方、ご家族が熱心な宮沢賢治ファンだという方など、今回も沢山の方が参加してくださいました。さらには、前回初参加だったお二方が今月も続けて参加してくださり、こうして新しい仲間がどんどん増えていくことも、本当に嬉しい限りです!
https://nekomachi-club.com/events/75dbce9c6e52
■課題本:宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』(新潮文庫)
貧しく孤独な少年ジョバンニが、ケンタウル祭の夜に気がつくと列車に乗っていた…
親友のカムパネルラとともに、幻想的な銀河を旅する物語です。
美しい星々の描写や澄み渡るような世界観の裏には、生きることの悲哀、自己犠牲、そして本当の幸(さいわい)とは何かという、宮沢賢治が生涯をかけて問い続けたテーマが重奏的に込められています。
また、本書にはタイトル作のほかにも『双子の星』『よだかの星』『カイロ団長』『黄いろのトマト』『ひのきとひなげし』『シグナルとシグナレス』『マリヴロンと少女』『オツベルと象』『猫の事務所』『北守将軍と三人兄弟の医者』『セロ弾きのゴーシュ』『饑餓陣営』『ビジテリアン大祭』と、個性豊かな13の短編が収められています。
■グループトーク
法華経の考え方をヒントに作品への理解を深める方、童話として純粋に楽しむ方、過去の読書体験と比較する方など、誰もが知る名作だからこそ、それぞれの読書体験や着眼点の違いが際立ちます。全14作品の中で、参加者一人ひとり心に残った作品も違っていたようです。皆さんはどの作品が印象に残りましたか?
<印象に残った作品>
●「『シグナルとシグナレス』は機械に人間的な感情を宿らせており恋バナのようで、思わずクスッとしてしまいました」
●「『セロ弾きのゴーシュ』は素直に物語として楽しく読めるので好きです」
●「『よだかの星』は涙がでました……」
<ジョバンニとカムパネルラの関係性について>
●「銀河鉄道の中でのジョバンニとカムパネルラの会話って、実は今ひとつ噛み合っていない。ふたりは本当に『親友』と呼べる友達だったのだろうか?」
●「昔読んだ時は気にならなかったけれど、ジョバンニのカムパネルラへの独占欲や、途中で乗ってくる女の子に対する嫉妬心が妙に気になりました」
心の距離感や二人が見ていた景色のズレ、違和感、そしてジョバンニが抱える孤独感について考えさせられる意見が飛び交いました。
<読後感を揺さぶるラストシーンと登場人物の行動>
●「川に落ちたカムパネルラの死を前にしたお父さんが、あまりにも静かで驚きましたが、人は悲しみすぎると一度冷静になるのかもしれません。もしくは、お父さん自身も昔ジョバンニのように銀河鉄道に乗ったことがあり、すべて分かっているのでは……?」
●「カムパネルラの父の落ち着いた態度と、その直後にジョバンニが父が帰ってくる知らせを母に伝えるため走るラスト。この展開が読後感をとても惑わせます」
という意見や感想も。悲劇と希望が同時に訪れる不思議なラストの解釈で議論が深まりました。
<宮沢賢治の圧倒的な「視座」の広さ>
●「賢治は空の星や宇宙だけでなく、足元の土や鉱石のことも本当に深く観察していたんだと感じます。あの時代に、広大な宇宙から足元の小さな鉱物までを等価なものとして見つめられた彼の視座の高さには驚かされます。」
宮沢賢治の自然科学者としての眼差しや、世界をまるごと捉える視野の広さに感心する声があがっていました。
■ドレスコード&ベストドレッサー
今回のドレスコードは「宇宙」!
作品の世界観を見事に表現した素敵なコーディネートや、こだわりあふれるエピソードがたくさん集まりました。
●「Starburst(銀河衝突による星形成現象)」をテーマにしたワンピースと、タグをプリントアウトしワンピースとお揃いにしたお手製のブックカバー
●夜空を彩る星座柄のハンカチ
●宇宙模様がプリントされた、お気に入りアーティストのライブタオル
●スペイン旅行で「皆既日食」を観察した際に使用した思い出のサングラス
どれも素敵な趣向が凝らされた華やかでこだわりあふれるベストドレッサーの方々でした。選ばれたベストドレッサーの皆様、おめでとうございます!
私自身、宮沢賢治を読むのは小学生以来でした。昔読んだイメージで、なんだかよく分からない、聖人みたいな作家、音やセリフが多くて読みづらいと、何となく避けていた作家です。
子どもの頃は「象さんが可哀想」「銀河鉄道がキラキラして素敵」という素朴な感想だったものが、大人になって読み返すと「資本主義社会に搾取される姿」を重ねたり、「自己犠牲」や「本当のさいわいとは何か」を考えてみたり……大人だからこそ理解できたり、作品の背景から深く考えさせられる、受け取れることもありました。
ですがその反面、子どもの頃に素直に感じられていた純粋さを、いつの間にか忘れてしまっていたのかもしれません。グループトークで「なぜ賢治は”童話”の形式をとったのだろう?」「裏を読もうとし過ぎていない?」という話題が出たとき、ハッとさせられました。
読書会が終わった後、あれこれ頭で考えずに素直に作品に向き合ってみようと、一番印象的だった『よだかの星』を再読しました。
生きるために他者の命を奪わなければならないという苦悩から、自らを燃やして星になるよだかの姿…。生命循環のなかにある根源的な矛盾の苦悩から自らを燃やし星になるという自己犠牲が描かれており胸が締め付けられますが、「燐の火のような青い美しい光になって」という表現を素直に受け取ると悲劇的な死がまるで魔法のように幻想的で崇高な瞬間へと変わります。その美しさに圧倒され、よだかの自己犠牲の死が恐怖や悲しみを残すのではなく、よだかの魂が救われたことを直感できる穏やかさとすっとしたどこか清々しい安らぎが残りました。
たまには作品の意味を掴もう、無理に理解しようとすることを少し休み、ただその作品の持つ世界観に身を浸してみることも大切なのかもしれません。描かれた言葉から素直に音や色彩、そして質感をそのまま受け取ること……それこそが、宮沢賢治の作品が持つ本当の素晴らしさを味わうために一番必要なことなのかもしれません。
参加いただいた皆様、ありがとうございました!
■猫町プラスのご案内
「猫町プラス」は、読書会以外にも会員同士の交流や課外活動などのイベントが楽しめるコミュニティサイトです。課題本から離れたフリートークや、美術・音楽・映画などをテーマにしたイベント、日常のちょっとした雑談の場など、読書を通じて広がった縁をさらに深められるコンテンツが盛りだくさんです。気になる方はぜひチェックしてみてください!
■次回のご案内(関西オフライン読書会)
●日時:10月24日(土)16:40〜
●課題本:伊藤亜紗『身体の美学入門』
●開催場所:ビストロ酒場YUZU cafe&bar 北浜本店
■平日夜の読書会、働きながら本を読む会-Re:読書-
こちらもオフラインで平日夜に開催中です。気になった方はこちらから詳細をどうぞ
https://nekomachi-club.com/events/c4464c11392c
皆様のご参加を、心よりお待ちしております!


2026/09/22 06:45
【開催レポート】関西オフライン読書会(2026年9月19日)


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