皆様、こんにちは!猫町. U35 BOOK CLUBの運営ボランティアをしている葛城です。
今年の5月から運営のお手伝いをさせていただいているのですが、今回から新しく「写真撮影」と「開催概要のレポート」を担当することになりました!
今回が私のブログ初投稿になります。
読書会の楽しさや、会場の和やかな空気感をたっぷりお届けできればと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

1782722539560.jpg 157.48 KB
2026年6月28日、霧雨の降る日曜日の午後。今回もおしゃれな「OSHIROスペース」を会場に、35歳以下限定の読書会「U35 BOOK CLUB」を開催しました。
会場には20名弱の参加者が集まり、4つのグループに分かれて感想を語り合いました!

📚 今回の課題本:村田沙耶香『コンビニ人間』
この日の課題本は、芥川賞受賞作でもある村田沙耶香さんの『コンビニ人間』。
刊行から10年近く経つ作品ですが、今なお色褪せない強いメッセージ性を持った名作です。 参加者のみなさんの読書状況も本当にバラエティ豊かでした!
• 「発売当初や芥川賞受賞時に一度読んで、今回久しぶりに再読した」という方
• 「この読書会をきっかけに初めて手に取った」という方
• 「村田沙耶香さんの作品自体が初めて!」という方
• 「村田沙耶香さんの作品をこれまでにも何冊か読んだことがある」という方
それぞれの視点から、新鮮な意見がたくさん飛び交いました。
同じ一冊を前にしていても、読んだ時期や現在の立場によって受け取り方が変わることが、読書会の面白さの一つです!

PXL_20260628_064433744.MP.jpg 5.02 MB
グループごとに、じっくりと、時に笑いながら語り合いました。その中から印象的だった話題を少しだけご紹介します。

PXL_20260628_064447391.MP.jpg 4.8 MB
1.    「普通」を求める周囲の干渉、今と昔
『コンビニ人間』は刊行から10年近くが経っています。その間に、社会全体のハラスメントへの意識や、結婚・仕事・生き方に対する価値観も大きく変化してきました。作中では、主人公に対して周囲の人々が無遠慮に「結婚しないのか」「相手はいないのか」といった言葉を投げかけます。現在では、こうした直接的な干渉は以前より少なくなっているようにも思えます。「ハラスメントへの意識が高まり、あそこまで直接的な干渉は減ってきたのではないか」という意見がある一方で、「それでも少し上の世代からは『相手はいないの?』と聞かれることはある」というリアルな体験談も。
また、「実は自分自身も、後輩や若い世代と話すときに『無難な話題』として、ついそういう質問をしてしまうことがあるかもしれない(特段、深い興味があるわけじゃないけれど)」という本音も共有されました。
作中に描かれている一見するとデリカシーの無い周囲の人々を、単純に「ひどい」と切り離すのではなく、自分たちの振る舞いや価値観を振り返って考えられる点が、この作品の面白さの一面であると感じました。

PXL_20260628_064615716.MP.jpg 4.85 MB
2.    主人公の生き方への共感と「帰属意識」
「普通と違うのではないか」「周りとずれているのではないか」という不安は、誰しも一度は持ったことがあるものです。そう考えると、『コンビニ人間』は決して特殊な人だけを描いた物語ではないという声も聞かれました。主人公の生き方がうらやましいという意見も上がりました。いわゆる「普通の生き方」からは外れても、コンビニという場所のルールや言葉を身につけ、その中ではとても自然に、いきいきと働いています。
社会の中では、仕事ができること、結婚していること、誰かの役に立っていることが、その人の価値や安定と結びつけられる場面があります。主人公にとっても、コンビニで働き、人の役に立っているという感覚は大きな意味を持っていたように思います。
「自分の居場所があること(帰属意識)」や「誰かの役に立っている実感(社会的自己効力感)」がいかに大切か、そして「普通」や「幸せ」は、絶対的なものではなく、周囲との関係の中でつくられていく相対的なものであるという声も上がりました。
主人公は一見すると人の目を気にしていないようで、実はとても強く社会の視線を意識している人物にも見えます。周囲の反応や社会のルールをかなり細かく観察している人でもあります。そのアンバランスさが、読んでいてとても印象に残りました。

PXL_20260628_064652264.MP.jpg 4.43 MB
3.    環境や社会への適応
一見、世間に馴染めていないようでいて、実は周囲の話し方や身なりを真似して、社会の歯車としてうまく溶け込んでいる主人公。しかし、「18年間も勤めているのに一度も職場の飲み会に誘われていないという描写を考えると、実は本人が思っている以上に周囲からは浮いていたのかも?」といった少し鋭い考察が出たテーブルもありました。
また、コンビニという場所が彼女に合っていたことは確かだけれど、彼女の観察力や適応力、決められたルールの中で正確に動ける力は、別の場所でも生かせたのではないか。そう考えると、主人公を「社会に適応できない人」としてだけ見るのは少しもったいないかもしれないといった意見も出ました。
ひとりでの読書では気づけなかったような視点がどんどん飛び出し、これぞ読書会の醍醐味!と感じる瞬間がたくさんありました。

PXL_20260628_064540207.MP.jpg 4.78 MB
🍻 読書会の後は……町中華で乾杯!
読書会の後は、希望者の皆様で町中華系居酒屋で懇親会へ!参加者の8割ほどが参加し、仕事のこと、学生時代のこと、地元のこと、本や映画のこと、好きな作家のことなど、読書会本編とはまた違った話題で盛り上がりました。一冊の本をきっかけにして話題が広がっていく時間も、読書会の魅力のひとつだと感じます。

『コンビニ人間』は、読む人の立場や年齢、社会との距離感によって、見え方が変わる作品です。刊行から時間が経った今だからこそ、当時とはまた違った角度から語り合うことができた読書会になりました。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

PXL_20260628_075508573.MP.jpg 6.14 MB
📣次回のお知らせ

本を通して同世代の人たちと、フラットに、そして深く語り合えるのが「U35 BOOK CLUB」の素晴らしいところです。
ぜひ、課題本を読んで、お気軽に遊びにきてください。

次回の開催は7月26日(日)15:00から、課題本はカフカ『変身』で行います。



https://nekomachi-club.com/events/0afe21f84879




それでは、また皆様とお会いできるのを楽しみにしています!



レポート:葛城(U35 BOOK CLUB 運営ボランティア)