「少ない素材から多様な音楽を生み出したい」<It’s About That Time>

「基本構造だけをメンバーで共有して、まるで別の曲のようにリアルタイムで編曲していく=Instant Composition」『Agharta』『Pangaea』

小室さんのレクチャーで特に響いたのは上記2点でした。

後者は少し難しい考えですが、スポーツのルールみたいにこれらを念頭に音楽を聴いてキャッチアップできれば、もっと味わいが深くなりそうです。できるかなあ。

読書会のテーブルでは、マイルス・デイヴィス=ベートーヴェン説という、この本を読み始めてから膨らんだ妄想をお話しさせていただきました。

・最新の機械、テクノロジーへの関心(ピアノ、メトロノーム)
・ずっと新しいことに挑戦して振り返らない
・奔放な女性関係

といったところでしょうか。

などと妄想世界に浸っていたところ、冒頭の「少ない素材から…」というお話です。
これって、ベートーベンの音楽そのものでは…。

ベートーベンの少ない素材音楽の代表選手は、「Es muss sein!」との歌詞(?)がつけられた弦楽四重奏曲第16番でしょうか。クンデラの『存在の耐えられない軽さ』に登場し、8月にアテネ・フランセに見に行ったジャン゠クロード・ルソー監督の映画でも流れていました。ヨーロッパのインテリを象徴する音楽形式なのが分かりますが、非常に複雑でついていけないというのが本音です。

今回は、音楽の範囲が膨大でせっかく挙げていただいたプレイリストを全部聴くことはできませんでした。特に自分にとってなじみの薄いエレクトリック期は、時間をかけて聴いて味わえたらと思います。

それから、今までいまいち体に入ってこなかったジョン・コルトレーンのアドリブが、突然バシバシ入ってくるようになりました。繰り返し聴いたから、というよりは、猫町で旧約聖書のぶっきらぼうな文体や、義太夫節や能楽の「Streched」な時間感覚に触れたことが大きいんじゃないかという仮説を持っています。

戦後の日本人がなぜこれだけジャズを受け入れたのか。義太夫節という耳のベースがあったからなのでは、というまたとんでもない妄想が膨らんでいます。