ジャズ作曲家、挾間美帆さんのm_unitのブルーノート東京でのライブを直接現地で、もしくはストリーミングを視聴して、その感想を話すという鑑賞会イベントに参加しました。これまでにも、オペラや劇、コンサートを観に行った後に懇親会のような形で感想を言い合ったり、現在はオペラ動画感想会に参加していますが、ストリーミングを観て鑑賞会は初めてかもしれないとのこと。

ジャズ作曲家、挾間美帆さんのm_unitのブルーノート東京でのライブ。


ブルーノートは憧れのライヴハウス。名古屋にもあったのですが、1回行ったことがあるだけで、コロナ感染症拡大の中、残念ながら閉店してしましました。ブルーノート東京は、いつか行って観たい場所の一つです。

m_unitは、ジャズの編成の定番の、サックス、トランペット、ピアノ、ベース、ドラムスといった楽器以外に、フレンチホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ヴィブラフォンといったクラシックでよく見る楽器との混成的な編成です。
これまでにもジャズのライヴで、フルートやヴァイオリン+リズムセクションという編成のものは何度か聴いたことがあります。一度観に行ったことがあるブルーノート名古屋でのライヴ、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールも、菊地成孔さんののサックス(ボーカル)にピアノ、ベース、ドラムに加えて、パーカッション、ハープ、弦楽四重奏、バンドネオンとで構成されていて、とてもかっこよく気持ち良かった。
ペペ・トルメント・アスカラールでは、菊地成孔さんはサックスを演奏したり、MCや声だったりでメンバーの一人としてずっと奏者でもあるのですが、狭間美帆さんは指揮をしているところが違いと思います。

プレイリスト
1.Dancer in Nowhere から Today, Not Today
2.Herbie Hancock 処女航海 Maiden Voyage から 01. Maiden Voyage、02. The Eye Of The Hurricane、05. Dolphin Dance メドレー
3.Time River から アーバン・レジェンド
4.Dancer in Nowhere から Somnambulant
5.Dancer in Nowhere から Il Paradiso del Blues
6.Dancer in Nowhere から Dancer in Nowhere
アンコール
7.1984年ロサンゼルスオリンピックのテーマ曲、ジョン・ウィリアムズ:オリンピックファンファーレを散りばめた曲

ビッグバンドでなのですが、昔ながらのビッグバンドとは何か違って、精緻で、美しく気持ちよく、奏でられるソロはかっこいいという。

とても楽しく視聴はしたものの、鑑賞会で何を話そうかというのは、結構ドキドキしました。本の読書会では、本に付箋を付けたり、電子書籍にラインを入れたりして参照しやすいですし、読み返しもしやすい、当日も「○ページに××とある部分について」と、文章を共有して話せる。しかし、劇や音楽の鑑賞会だと記憶に基づいての話ですし、劇等はストーリーについて話せば、他の参加者と共有しやすいですが、音楽は、曲の中のどこの部分について話しているのかも共有しにくい。感想ブログを書くにも私に言葉にする力がなく「良かった」「良くなかった」「好き」「嫌い」以外の感想って難しいと思っています。
とはいえ、同じライヴを視聴した同士、感想についておしゃべりしたい気持ちはあったので、非常に楽しい鑑賞会でした。

グループでの感想では、クラシックぽい、リズムが複雑で拍子が取れない、気持ち良い、かっこいい、〇〇(曲)が一番良かった、○○の××のソロが良かった等の感想が出ました。好きな曲や、好きなソロは結構、人によって色々。でも、他の人が良かった部分は、聞くと思い出して、そうそう、そこも良かったよねとなりました。

また、グループには当日ブルーノートにも行ったという方がいて、その場でのライヴとストリーミングでの違いの話もでました。音の全体のバランス、曲の中でソロなどポイントに合わせて観るべき奏者にカメラが寄る点、バンド内の奏者の位置に関係なく指使いまでよく見える点などはストリーミングの利点。一方、多少音のバランスは偏っても、その場で聴くからこその音の聴こえ感、包まれる感じ、雰囲気はライヴに勝るものはないし、カメラと違って自分が聴きたい、観たい奏者を自分で選んで観続けられるのもリアルの利点という話になりました。

このイベントでは、ジャズ評論家の柳樂光隆さんもゲスト参加されており、鑑賞会中にグループを回って質問などできました。

出た質問①「指揮者の役割は?」

クラシックの演奏では、指揮者がピアノを弾きながら指揮も振る形もあります。狭間美帆さんも、本当はピアノも弾ける方、それもとっても。しかし、作曲家の立場をメインにするため、指揮に専念した形をとっておられるらしい。

この点、以前に、ウィーン・リング・アンサンブルとウィーン・フォルクスオーパーのニューイヤーコンサートを観る機会があったのですが、同じ曲を演奏しても、指揮者のないウィーン・リング・アンサンブルは、顔をちらっと見て、互いにタイミングや流れをコンタクトし合うジャズ的なライヴ感があり、そこがかっこいい、すごい!となったのですが、一方で指揮者が振るフォルクスオーパーでは、指揮者の指示に従うことで、音の調子、流れなどが統一され、指揮者の作り出そうとする音、曲が作られるという違いが感じられて、違いが面白かったことを想い出しました。

質問②「どこまであらかじめ曲は作られている?」

これについては、曲も複雑で、結構がっつり、かっちり譜面は書きこまれているらしい。ちょうど、今マイルス・デイヴィスの本を読む読書会に参加しているのですが、聴き返してみるとマイルスでも、メインのメロディ部分や決めのサビ部分は、かっちり決まっている感じですし。柳樂さんの話では、マイルスとギル・エヴァンスの曲などは、ソロ部分もきっちり譜面に書かれていたと。ビ・バップのように、メイン以降はコードだけ決まっていてアドリブが続くジャズに比べて、今のジャズは、クラシックの精緻な部分とクロスオーバーしているのかもしれません。

質問③「クラシックとジャズの違いは?」

この点、私も聴いていて疑問に思った点でした。
柳樂さんの話では、一つは自由に演奏できる余白を残していること、半分とか1/3とかと。これは先ほどの楽譜の話とも重なるかもしれません。
もう一つは、リズムセクション、ドラムセットをクラシックは使わないということ。これは確かに。言われてみるとその通りでした。そして、ドラムへの指示は、拍子とテンポは書かれれいるけれど、残りは自分のセンスで演奏するため、全く奏者によって別のリズム解釈になるのだそう。さらに、リズムセクションはクラシックは弦、管を引き立てる感じとも。言われてみると、確かにそういう違いがあるよう。

しかし、クラシックの現代音楽、たとえば名フィルの定演でも初演演奏などがあるのですが、それと今回の演奏には似たものを感じます。元々、そもそも、現代に作られた初演曲もクラシックなの?クラシックって何?とも思っていたので、どちらもジャズでもクラシックでもなく、新しいカテゴリのようにも思います。

一人で視聴して、手軽で質も良く楽しめた一方、オンラインだと人と語る機会が無い点は寂しいのですが、その点、鑑賞会があって、とても楽しかったです。鑑賞会の後には、懇親会もあって、小室敬幸さんも参加されて一層お話を聞くのが面白かった。

ただ当日、ブルーノート東京から、「Re:コルトレーン」のライヴ配信もあったため、懇親会の途中で抜けたのでした。そこだけ残念でしたし、ストリーミングで観ようかとも迷ったのですが、せっかくなのでリアルタイムで観たくて。こちらもすごく良かった。
マイルスが好き、コルトレーンが好きと言っているくせに、自分の知っている、聞いたことのある曲は、すごく狭い一部で、その他にこんなに、かっこいい曲があったのかと、一層好きになってしまうライヴでした。クラシックもジャズも、どちらもやはり好きです。